魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「王宮軍だわ……」
ソフィーが呟いた。
領軍ですら、魔女の集落を目指してやってきたことはない。せいぜい前を通過するだけだ。
にも拘らず、今集落は王宮軍に囲まれている。
(これは、ただ事じゃない……)
しかも現在は斑紋死病の感染拡大を防ぐために、王都から出ることは厳しく制限されているはずだ。
(それなのに、どうしてこんな大人数で? 魔王との取引の目途が立ったっていうこと?)
そうに違いなかった。
そして、そのことと今魔女の集落が包囲されていることは、恐らく無関係ではないだろう。
ソフィーは真剣な表情で、じっと外の様子を見つめていた。
一方でソフィー以外の魔女たちは、動揺しオロオロしていた。
「魔女は全員建物から出てきて横一列に並べ!」
(ど、どうすれば……)
魔女たちはソフィーの判断を仰ぐために、ソフィーの様子を窺った。