魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 イーダが考えあぐねていると、その間にあっさりと言い捨てられてしまった。

「ならそのままで構わない。膝ならどうせ見えないだろうしな」

 イーダは胸のうちで舌打ちした。

「待ってください!」

 ソフィーが列から飛び出した。

 しかし、男の周囲にいた兵たちがソフィーに槍先を向け、ソフィーがそれ以上近づくのを阻んだ。

「彼女をどうするつもりですか?」

「王命だ。『魔女の集落から第一王女殿下の身代わりになる者を出せ』と」

(第一王女殿下って、名前は確かオリーヴィア様だっけ……)

 そのオリーヴィア様が17歳ということなのだろう。

「たいした魔法は使えない魔女とはいえ、髪と目の色ぐらいは変えられるか?」

 相も変わらず馬鹿にしたように言う。
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