魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
男はイーダを無遠慮にじろじろと見た。
「目は……お前もヘーゼルなのか。まあ、珍しくはない色だからな。なら、髪だけでいい。プラチナブロンドに変えろ」
(この自慢の髪色を『変えろ』なんて、よくも簡単に命令してくれる!)
けれど好機でもあった。
「それなら時間をください。髪の色を変えるには染料が必要です」
本当は髪の色は変えずとも、魔法を使って見た者の目に錯覚を起こさせ、あたかも違う色のように見せることが可能だ。
しかし、それが魔王にも通用するかどうかは、はっきりいって自信がない。
髪の色を変えてしまうほうが無難だ。
それとそれ以上にイーダは時間稼ぎをして、ソフィーたちと話がしたかった。
「だったら、ウィッグを被らせればいいだけのこと!」
(ああ、ダメか……)