魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

2.2

 ここ最近の魔女たちの働き方は異常だ。

 その中でもソフィーは特に酷い。大魔女として多くを背負いすぎている。

 娘のようなソフィーの疲れ切った顔を見ると、ラーシュはもどかしくて堪らなくなる。

(それなのに、ほかの魔女たちの心配ばかりして。ああ、私が手助けしてあげることができたら、どんなによかったでしょうか……)

 しかし、ラーシュは使い魔の契約をしてしまっている。

 人間界で使い魔をしている今は、主人であるソフィー以上の魔力を使用できないように制限がかかるのだ。

 とはいえ、使い魔になっていなければ、そもそも人間界に来ることすら叶わなかったのだ。

 それならば、使い魔としてできることは何だってしてやりたいと思うのが、せめてもの親心というものだ。

「ラーシュ、この手紙を国王陛下に急ぎで届けてほしいの。国王陛下、分かる?」

 しかし、これには困ってしまった。
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