魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
ところが、予想以上のことまで起きた。
人間界で『魔王が残虐な対価を要求してきた』という悪評が広まってしまったのだった。
まさか自身が笑い者にされそうな話を吹聴して回るとは想像できなかった。まあ、吹聴したのは本人ではなく、臣下の者かもしれないが。
兎にも角にもそれ以来、魔王は暇を弄ぶことになってしまった。
「次にまた依頼が来たときには、対価をどうするか慎重に考えましょう」
「ああ、もし来たらな」
魔王は投げやりに答えた。
「退屈しているのでしたら、またパーティーでも開きましょうか? 人間に頼らずとも、魔界で楽しいことがあればいいんですよ」
「またそれか……」
そう言って、魔王は眉根を寄せた。
「そうです、婚活パーティーです。魔王様が妃をお迎えになるまでは、私は諦めません」
うんざりしている様子だが、ここで引き下がるわけにはいかない。