魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
2.3
侍従長は今回に限ってはすぐに戻ってきた。
「魔王様、やりました!」
大きな笑顔で何かを掲げている。
「魔王様に人間から依頼ですよ、依頼!」
「それ、おかしくないか? いくら何でも、さっき話したばかりでタイミングがよすぎる気がする……」
「ですが本当なんですって! 国王が魔王様宛ての親書を持っているのを見たときには、年甲斐もなく興奮してしまいました。国王の気が変わらないうちにと、ひったくってきましたよ」
カラスに化けている以上、人間と会話はしていないはずだ。
それでも、魔王はその封書に疑いの眼差しを向けた。
(主人である魔女に頼んだりしてはいないだろうな?)
人間からお願いが来るのを、魔王城で首を長くして待っていると思われては堪らない。そんな魔王は格好悪い。
「とにかく読んでみてください」
「あっ、ああ……」
魔王よりも、侍従長のほうが明らかに高揚している。
「ほら、早く! 何て書いてあるんですか?」
「いい歳して、少しは落ち着けって」
「魔王様、やりました!」
大きな笑顔で何かを掲げている。
「魔王様に人間から依頼ですよ、依頼!」
「それ、おかしくないか? いくら何でも、さっき話したばかりでタイミングがよすぎる気がする……」
「ですが本当なんですって! 国王が魔王様宛ての親書を持っているのを見たときには、年甲斐もなく興奮してしまいました。国王の気が変わらないうちにと、ひったくってきましたよ」
カラスに化けている以上、人間と会話はしていないはずだ。
それでも、魔王はその封書に疑いの眼差しを向けた。
(主人である魔女に頼んだりしてはいないだろうな?)
人間からお願いが来るのを、魔王城で首を長くして待っていると思われては堪らない。そんな魔王は格好悪い。
「とにかく読んでみてください」
「あっ、ああ……」
魔王よりも、侍従長のほうが明らかに高揚している。
「ほら、早く! 何て書いてあるんですか?」
「いい歳して、少しは落ち着けって」