魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 しかし、そっくりな部屋というのも趣に欠ける。

 いっそのこと、魔王が勘違いしたという無垢材の家具で統一された部屋というのもいい気がしてきた。

(そうすればリラックスできて、あんなふうにキーキー喚いて怒る必要もなくなるかもしれない……)

 侍従長はソフィーが若い頃に使っていた部屋を思い出す。自分が使い魔になったばかりの頃に呼ばれた部屋。

(ああ、よさそうですね)

 国王……サンディに思うところがないわけではない。

 ラーシュはどうしたってソフィーの側に立ってしまう。

 そして迎えるのはその国王の娘……

 別の人間だからと割り切れる自信はない。

 それでも、国王の眉間に寄ったシワがチラついた。
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