魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「それでは、謁見の間へご案内します」
しかし、謁見の間にいたのは国王ではなく、イーダを魔女の集落から王宮まで連れてきた男たちだった。
(できることなら、二度と顔を見たくなかったのに……)
「はっ、多少は見られるようになったではないか。魔王の前でボロがでないように気を付けるんだな」
「そうですね。国王陛下が身代わりを立てたことを魔王が知れば、国王陛下や王国もどうなるか分かりませんしね」
イーダは言い返した。
「なっ! 脅す気か?」
「事実を言ったまでです。それに、散々脅してきたのはそちらですよね?」
しれっと答えてやった。
「魔女風情がっ、」
「やめないか。何を言い合いしているんだ」
割って入ってきた人物のほうに視線をやった。
言い合いをしている間に、その人は壇上に来ていたようだ。
(この人が国王陛下……?)