好きって言わなくても分かるでしょ
プロローグ
どんなに好きだと伝えても受け止めてくれない
私は嫌われているのでしょうか。
無口で自己表現をするのが苦手な彼を好きになったのはいつからでしょうか
好きと告白しても何も返事がない。
それでもずっとそばにいてくれる。
幼い頃からずっと隣にいた。
幼稚園や学校、放課後に一緒に遊んで
楽しいことも辛いことも
常に一緒に笑って泣いてくれた。
砂利道を散歩して、虫を捕まえたり、
公園の遊具のブランコでどこまで高く漕げるか
競い合ったり、突然はじまる鬼ごっこに
夢中になった。
小学2年の九九を覚える勉強でわからないことがあると丁寧に教えてくれた。
まだ好きや嫌いとお互いに伝え合っていない。
そんな時間の方がまだ幸せだったのかもしれない。
高校生になった今、お互いに合わせて受験したわけじゃないのにたまたま同じ高校に行くことになった。
中学になってからお互い部活動で忙しくなって、会うことは少なくなっていたけども、時々見かけたら挨拶するくらいの接点だった。
高校になってからは、何故か急接近し始めた。
毎朝、同じ時間、同じ方向、同じ電車に乗っている。
一度でも目が合わないってことはない。
必ずどこかで目が合う。
でも話すことはなかった。挨拶さえもしない。
嫌われているのだろうかとネガティブに
考えてしまう。
今日もいつもと同じ車両で少し離れて座った。
こんなに近くにいるのに心は通い合ってない。
小さい頃はどんなことでも会話していたのに
同校生徒の先輩だろうか。
友達同士で何でもない話で盛り上がってる。
その姿を見るだけで羨ましく感じた。
電車の中、膝の上に乗せたリュックに顔を埋めた。
こんな気持ちになるなら、
一緒の学校に通いたくない。
「……具合悪いのか?」
顔を上げた。
幼馴染の水島朔斗が、
栗原梨花の目の前に近づいた。
吊り革に両手でつかみ、顔だけ近づけて
様子を伺った。
ハッと意識を取り戻すと、首をブンブンと横に振る。
ポニーテールの髪が揺れた。
「大丈夫なら…いいけど。」
そう言って、朔斗は梨花の額に手を触れた。
「熱、無いな…。」
高熱では無いことを確かめた。
梨花は耳まで顔を赤くする.
近くにいた同校生徒の2人組がこちらを見て、
ニヤニヤと笑っていた。
「あの2人って付き合ってるのかな。」
「ねっ。」
誤解されては困ると、必死で元気をアピールする。
「いや、本当、大丈夫だから。」
梨花は逃げるように車両の入り口に駆け寄った。
朔斗との距離が近くなって安心した。
朔斗は吊り革を持ったまま、立ち続けた。
終点の駅まであと15分はあった。
窓の外を眺めていたが、どこにお店があってビルがあってと説明してと言われても何があったかなんて
誰かに聞かれても答えられない。
心臓がはやく打ち鳴らしていた。
どんなに好きだと伝えても受け止めてくれない
私は嫌われているのでしょうか。
無口で自己表現をするのが苦手な彼を好きになったのはいつからでしょうか
好きと告白しても何も返事がない。
それでもずっとそばにいてくれる。
幼い頃からずっと隣にいた。
幼稚園や学校、放課後に一緒に遊んで
楽しいことも辛いことも
常に一緒に笑って泣いてくれた。
砂利道を散歩して、虫を捕まえたり、
公園の遊具のブランコでどこまで高く漕げるか
競い合ったり、突然はじまる鬼ごっこに
夢中になった。
小学2年の九九を覚える勉強でわからないことがあると丁寧に教えてくれた。
まだ好きや嫌いとお互いに伝え合っていない。
そんな時間の方がまだ幸せだったのかもしれない。
高校生になった今、お互いに合わせて受験したわけじゃないのにたまたま同じ高校に行くことになった。
中学になってからお互い部活動で忙しくなって、会うことは少なくなっていたけども、時々見かけたら挨拶するくらいの接点だった。
高校になってからは、何故か急接近し始めた。
毎朝、同じ時間、同じ方向、同じ電車に乗っている。
一度でも目が合わないってことはない。
必ずどこかで目が合う。
でも話すことはなかった。挨拶さえもしない。
嫌われているのだろうかとネガティブに
考えてしまう。
今日もいつもと同じ車両で少し離れて座った。
こんなに近くにいるのに心は通い合ってない。
小さい頃はどんなことでも会話していたのに
同校生徒の先輩だろうか。
友達同士で何でもない話で盛り上がってる。
その姿を見るだけで羨ましく感じた。
電車の中、膝の上に乗せたリュックに顔を埋めた。
こんな気持ちになるなら、
一緒の学校に通いたくない。
「……具合悪いのか?」
顔を上げた。
幼馴染の水島朔斗が、
栗原梨花の目の前に近づいた。
吊り革に両手でつかみ、顔だけ近づけて
様子を伺った。
ハッと意識を取り戻すと、首をブンブンと横に振る。
ポニーテールの髪が揺れた。
「大丈夫なら…いいけど。」
そう言って、朔斗は梨花の額に手を触れた。
「熱、無いな…。」
高熱では無いことを確かめた。
梨花は耳まで顔を赤くする.
近くにいた同校生徒の2人組がこちらを見て、
ニヤニヤと笑っていた。
「あの2人って付き合ってるのかな。」
「ねっ。」
誤解されては困ると、必死で元気をアピールする。
「いや、本当、大丈夫だから。」
梨花は逃げるように車両の入り口に駆け寄った。
朔斗との距離が近くなって安心した。
朔斗は吊り革を持ったまま、立ち続けた。
終点の駅まであと15分はあった。
窓の外を眺めていたが、どこにお店があってビルがあってと説明してと言われても何があったかなんて
誰かに聞かれても答えられない。
心臓がはやく打ち鳴らしていた。
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