好きって言わなくても分かるでしょ
第32話 乗る電車を変えたかった
次の日の朝。
梨花はあえて、いつも乗る電車とは違う時間に
駅に向かった。朔斗に会わないようにするためだ。
本人にはもちろん秘密。
朝1本の電車を早めるということは
ものすごく早起きをしなくてはいけない。
外はまだ暗い時間。
そして寒い。
それでも我慢してものすごく早起きした。
朔斗と一緒にいるのが辛くなる。
苦しくなる。
付き合ってるのか付き合ってないのかわからない。
曖昧な関係が嫌だった。
かといって、好きと聞くのも今更恥ずかしい。
こちらから告白するのもなんか違う気がして遠ざけたかった。
このもどかしい気持ちをどうにかしたい。
いつも乗る車両より乗客は少ない。
耳にしっかりとイヤホンをつけて
冷静になれるようリラックスできる音楽を
流していた。
オルゴールの曲だ。
座席の端っこ。
いつもより早いからか眠くて仕方ない。
約15分程度で着く駅をすっかり寝過ごしてしまった。
よりによって、終点は目的とは違う場所。
梨花はいつもと違う行動を取ったせいかと起きた頃には朝日が煌々と輝いていた。
「あれ、お嬢ちゃん。
その制服の高校ってここじゃないよね?」
「……ははは。
乗り過ごしてしまって…。」
田舎の高齢者。誰にも声をかける人。
たまにいる。しかも余計な一言。
「そうか。乗り過ごしたのか。いい旅だったな。」
前歯をほぼ失っているおじいさんが笑った。
そんなに高校生が珍しかったのか。
梨花は恥ずかしくなって、ケタケタと笑う
しかなかった。
気づいてすぐ反対方向に行く車両に乗り換えた。
時刻は8時。いつもの電車に乗る時間と一緒。
ちょうど戻って、いつもの車両と出くわす。
結局時間をずらしても朔斗に会ってしまうという厄日だ。そして乗る電車間違えている。それを見られたら、笑われるに決まっている。
梨花は、自分に腹が立った。
学校近くの最寄り駅に到着すると、案の定。
朔斗の乗る車両も到着していた。
見つからないように小走りで改札を抜けると、
後ろから聞いたことある声がした。
「あれ、梨花。
お前、どこに乗ってたんだよ。」
「……。」
朔斗だった。
改札口通りかかると後ろにいた。
「いなかったよな。さっきの車両。」
「……。」
後ろむきのまま何も言えない。
「おい、梨花。」
恥ずかしい思いだ。
穴があったら入りたい。
本当のことを言いたくない。
「……遅刻するぞ。」
朔斗は理由をとがめなかった。
ポンと頭を撫でて通り過ぎる。
その行動が怪しいんだ。
もうどうしろっと言うんだと梨花は、
顔を真っ赤にして、通り過ぎる朔斗に
振り向けなかった。
離れたくても離れられられない関係なのかも
しれない。
梨花は、別の時間の電車に乗ることを諦めた。
現実を受け止めることにした。
隣に住む幼馴染なのだから仕方ない。
校舎の屋上、弱い風でカザミドリが
カラカラと回り続けた。
梨花はあえて、いつも乗る電車とは違う時間に
駅に向かった。朔斗に会わないようにするためだ。
本人にはもちろん秘密。
朝1本の電車を早めるということは
ものすごく早起きをしなくてはいけない。
外はまだ暗い時間。
そして寒い。
それでも我慢してものすごく早起きした。
朔斗と一緒にいるのが辛くなる。
苦しくなる。
付き合ってるのか付き合ってないのかわからない。
曖昧な関係が嫌だった。
かといって、好きと聞くのも今更恥ずかしい。
こちらから告白するのもなんか違う気がして遠ざけたかった。
このもどかしい気持ちをどうにかしたい。
いつも乗る車両より乗客は少ない。
耳にしっかりとイヤホンをつけて
冷静になれるようリラックスできる音楽を
流していた。
オルゴールの曲だ。
座席の端っこ。
いつもより早いからか眠くて仕方ない。
約15分程度で着く駅をすっかり寝過ごしてしまった。
よりによって、終点は目的とは違う場所。
梨花はいつもと違う行動を取ったせいかと起きた頃には朝日が煌々と輝いていた。
「あれ、お嬢ちゃん。
その制服の高校ってここじゃないよね?」
「……ははは。
乗り過ごしてしまって…。」
田舎の高齢者。誰にも声をかける人。
たまにいる。しかも余計な一言。
「そうか。乗り過ごしたのか。いい旅だったな。」
前歯をほぼ失っているおじいさんが笑った。
そんなに高校生が珍しかったのか。
梨花は恥ずかしくなって、ケタケタと笑う
しかなかった。
気づいてすぐ反対方向に行く車両に乗り換えた。
時刻は8時。いつもの電車に乗る時間と一緒。
ちょうど戻って、いつもの車両と出くわす。
結局時間をずらしても朔斗に会ってしまうという厄日だ。そして乗る電車間違えている。それを見られたら、笑われるに決まっている。
梨花は、自分に腹が立った。
学校近くの最寄り駅に到着すると、案の定。
朔斗の乗る車両も到着していた。
見つからないように小走りで改札を抜けると、
後ろから聞いたことある声がした。
「あれ、梨花。
お前、どこに乗ってたんだよ。」
「……。」
朔斗だった。
改札口通りかかると後ろにいた。
「いなかったよな。さっきの車両。」
「……。」
後ろむきのまま何も言えない。
「おい、梨花。」
恥ずかしい思いだ。
穴があったら入りたい。
本当のことを言いたくない。
「……遅刻するぞ。」
朔斗は理由をとがめなかった。
ポンと頭を撫でて通り過ぎる。
その行動が怪しいんだ。
もうどうしろっと言うんだと梨花は、
顔を真っ赤にして、通り過ぎる朔斗に
振り向けなかった。
離れたくても離れられられない関係なのかも
しれない。
梨花は、別の時間の電車に乗ることを諦めた。
現実を受け止めることにした。
隣に住む幼馴染なのだから仕方ない。
校舎の屋上、弱い風でカザミドリが
カラカラと回り続けた。