好きって言わなくても分かるでしょ
第35話 大切な2人の時間
静かな図書室。
カウンターには図書委員と司書の先生が座っていた。
貸し出しカードをトントンと揃えて整えている。
返却の本を本棚に戻す生徒もいた。
のんびりした空間の奥の奥。
誰にも見えない本棚で分厚い本を立ってペラペラと
めくっていた。
本なんて、授業で読むくらいで
普段は全然読まない梨花はここぞとばかりに
緊張を和らげようと難しい漢字も書いてある推理小説を読み始めた。頭に全然入ってこない。
ただ目で文字を追ってみる。そんな漢字だった。
朔斗が一つ一つの本棚を覗いて、どこに梨花がいるのか探していた。呼び出した割に居場所は教えてくれないのかと少しイラッとした。
梨花は静かに近づく朔斗の足音に気づいた。
この歩幅だった気がすると耳を澄ましていた。
「あ、いた」
本棚の奥の方にいてもすぐに見つかった。
それもそうだ。
司書の先生と図書委員の2人の生徒以外
誰もいなかったのだから。
「あ。」
梨花は、遂に来たと思って、不意に耳が赤くなった。
「ここに呼び出しって
ちゃんとどこで待ってるか
教えてくれないんだもんな。」
近くにあった本を触って適当に取り出す朔斗。
読む気もないのにペラペラとめくっている。
「う、うん。ごめん。」
「いや、別にいいけど。」
持っていた本を戻した。
「んで?」
「?」
「何の話?」
「あのさ、朔斗。」
「……。」
「私、何度か聞いてきたんだけど、
私たちって付き合っているのかなって
確かめたかったんだ…どうなの?」
はっきりと目を見て、真剣に向き合った。
まっすぐとした透き通る梨花の目に見られて、
これは真面目に答えないといけないなと感じた
朔斗は深呼吸をした。
「…えっとぉ。」
恥ずかしそうに後頭部をポリポリとかく。
「俺は、そうだと思ってるけど…。」
「え?」
「だから。」
「うん。」
「そうなんだって。」
「そうって何よ。
アイスクリームの爽ですか?」
はっきりと言って欲しかった梨花は
朔斗に近づいて聞いた。
煩わしくなった朔斗は梨花の目の前に近づいた。
「あのさ、言わないとわからないわけ?」
朔斗は下を見下ろして、じっと梨花の目をみる。
「え?」
窓から風が爽やかに吹いてきた。
白いカーテンが揺れている。
隠れた2人の影があった。
首をななめにそっと朔斗は梨花の柔らかい唇に
軽くキスをした。
お互いの何かが繋がったようなそんな感覚だった。
胸が熱くなる。
目を見つめ合って自然と手に触れていた。
何も言わなくても次は花の蜜を吸うように
甘いキスをした。
言葉を発しなくても2人の顔は耳まで赤い。
顔が綻んでいく。
握る手はあたたかい。
指先の感触まで感じていたいくらい
一緒にいたくなる。
本当の想いが繋がった。
風で揺れるカーテン影に2人は両手をつないで
額同士くっつけてニコッと笑った。
朔斗から見た梨花は天使のように
キラキラと可愛く見えた。
このまま時が止まって仕舞えばいいのにと
願ってしまった。
図書委員の生徒が2人に近づいているのがわかると
慌てて、梨花は朔斗の手を引っ張ってそっと
図書室の外に出て行った。
図書室のカーテンが風で大きく揺れていた。
カウンターには図書委員と司書の先生が座っていた。
貸し出しカードをトントンと揃えて整えている。
返却の本を本棚に戻す生徒もいた。
のんびりした空間の奥の奥。
誰にも見えない本棚で分厚い本を立ってペラペラと
めくっていた。
本なんて、授業で読むくらいで
普段は全然読まない梨花はここぞとばかりに
緊張を和らげようと難しい漢字も書いてある推理小説を読み始めた。頭に全然入ってこない。
ただ目で文字を追ってみる。そんな漢字だった。
朔斗が一つ一つの本棚を覗いて、どこに梨花がいるのか探していた。呼び出した割に居場所は教えてくれないのかと少しイラッとした。
梨花は静かに近づく朔斗の足音に気づいた。
この歩幅だった気がすると耳を澄ましていた。
「あ、いた」
本棚の奥の方にいてもすぐに見つかった。
それもそうだ。
司書の先生と図書委員の2人の生徒以外
誰もいなかったのだから。
「あ。」
梨花は、遂に来たと思って、不意に耳が赤くなった。
「ここに呼び出しって
ちゃんとどこで待ってるか
教えてくれないんだもんな。」
近くにあった本を触って適当に取り出す朔斗。
読む気もないのにペラペラとめくっている。
「う、うん。ごめん。」
「いや、別にいいけど。」
持っていた本を戻した。
「んで?」
「?」
「何の話?」
「あのさ、朔斗。」
「……。」
「私、何度か聞いてきたんだけど、
私たちって付き合っているのかなって
確かめたかったんだ…どうなの?」
はっきりと目を見て、真剣に向き合った。
まっすぐとした透き通る梨花の目に見られて、
これは真面目に答えないといけないなと感じた
朔斗は深呼吸をした。
「…えっとぉ。」
恥ずかしそうに後頭部をポリポリとかく。
「俺は、そうだと思ってるけど…。」
「え?」
「だから。」
「うん。」
「そうなんだって。」
「そうって何よ。
アイスクリームの爽ですか?」
はっきりと言って欲しかった梨花は
朔斗に近づいて聞いた。
煩わしくなった朔斗は梨花の目の前に近づいた。
「あのさ、言わないとわからないわけ?」
朔斗は下を見下ろして、じっと梨花の目をみる。
「え?」
窓から風が爽やかに吹いてきた。
白いカーテンが揺れている。
隠れた2人の影があった。
首をななめにそっと朔斗は梨花の柔らかい唇に
軽くキスをした。
お互いの何かが繋がったようなそんな感覚だった。
胸が熱くなる。
目を見つめ合って自然と手に触れていた。
何も言わなくても次は花の蜜を吸うように
甘いキスをした。
言葉を発しなくても2人の顔は耳まで赤い。
顔が綻んでいく。
握る手はあたたかい。
指先の感触まで感じていたいくらい
一緒にいたくなる。
本当の想いが繋がった。
風で揺れるカーテン影に2人は両手をつないで
額同士くっつけてニコッと笑った。
朔斗から見た梨花は天使のように
キラキラと可愛く見えた。
このまま時が止まって仕舞えばいいのにと
願ってしまった。
図書委員の生徒が2人に近づいているのがわかると
慌てて、梨花は朔斗の手を引っ張ってそっと
図書室の外に出て行った。
図書室のカーテンが風で大きく揺れていた。