好きって言わなくても分かるでしょ
第3話 帰り道
「朔斗、もういいよ、おろして。」
梨花は、たくさんの乗客が行き交う駅の出入り口付近で、朔斗の肩をたたいた。
まさか、たくさんの人がいる前までおんぶをされるとは思わなかった。
背負われた場所から約15分の距離。
病人でもなんでもないのに、贅沢な気分になる。
朔斗は周りを気にもせず、そっと梨花をおろした。
そっと、かがんで、梨花の膝をじっと見た。
「ここ、擦りむいてる。」
「え、うん。そうだね、気づかなかった。
でも大丈夫だよ。ここまで背負ってくれて
ありがとう。重いのに。」
朔斗は青いスクールバックから、絆創膏を
取り出した。梨花よりも女子力が高いことに
ショックを覚える。
朔斗は何も言わずにぺたっとすり傷をつけた膝に
貼り付けた。
「そうだな。
1トン以上あるもんな。」
「な、な、何をぉ〜?!」
「あ、間違った。
無量大数だった。」
「そんなに重くないわよ!!
失礼しちゃうわ。」
あんなに嫌な思いしていたのに、
朔斗といると、ホッとする。
冗談だって分かっていても
本気で怒りたくなる。
昔と同じ会話できてた気がする。
朔斗が口角を上げて、梨花に何も言わず、
改札口に向かっていた。
梨花は殴りかかろうとした右腕をしまって、
バックを背負い直した。
慌てて、追いかけるように定期券を出した。
アナウンスと共に発車ベルが響いた。
ギリギリにドア付近に乗り込めた。
「なんで、置いてくの?」
「………。」
さっきまで普通に話できていたのに
急にダンマリになる朔斗。
周りの様子を見渡すと、同じ高校の生徒がが学年に関わらず何人も乗っていた。
見られていることが恥ずかしいからか。
なんでかわからない。
高校生だけじゃなく、サラリーマンや主婦、
小さな子どもを抱っこしたお母さん、
足腰が弱そうなおばあちゃんが乗っていた。
人に見られるのも嫌なのか。
改札口に入る前は、
恥ずかしいくらいに梨花をおんぶしていた。
かなり目立っていた気がするが、
謎が深まった。
吊り革をつかんで、窓の外を見る朔斗は
無表情で、梨花がいることを忘れているかの
ようだった。
話しかけにくいなと思った梨花は、
スマホを取り出して、耳にイヤホンをつけた。
好きな音楽をつけて、気分を紛らわそうとした。
耳につけていたコードつきイヤホンが
何度か取れた。
(もう、せっかく聞いていたのに)と
ブツブツと文句を言いながら、何度も耳につけた。
そのイヤホンは自然にぽろんと落ちたわけではなくて、朔斗がいたずらでバレないように外していた。
梨花はそれに全然気づかない。
朔斗は気づかれないなとゲームのように
楽しんでいた。
何も話さなくても、
関わっているだけで楽しんでいた。
いじわるしたかっただけだ。
梨花は、朔斗のことを忘れて、
何度も落ちるイヤホンにイライラしていた。
梨花は、たくさんの乗客が行き交う駅の出入り口付近で、朔斗の肩をたたいた。
まさか、たくさんの人がいる前までおんぶをされるとは思わなかった。
背負われた場所から約15分の距離。
病人でもなんでもないのに、贅沢な気分になる。
朔斗は周りを気にもせず、そっと梨花をおろした。
そっと、かがんで、梨花の膝をじっと見た。
「ここ、擦りむいてる。」
「え、うん。そうだね、気づかなかった。
でも大丈夫だよ。ここまで背負ってくれて
ありがとう。重いのに。」
朔斗は青いスクールバックから、絆創膏を
取り出した。梨花よりも女子力が高いことに
ショックを覚える。
朔斗は何も言わずにぺたっとすり傷をつけた膝に
貼り付けた。
「そうだな。
1トン以上あるもんな。」
「な、な、何をぉ〜?!」
「あ、間違った。
無量大数だった。」
「そんなに重くないわよ!!
失礼しちゃうわ。」
あんなに嫌な思いしていたのに、
朔斗といると、ホッとする。
冗談だって分かっていても
本気で怒りたくなる。
昔と同じ会話できてた気がする。
朔斗が口角を上げて、梨花に何も言わず、
改札口に向かっていた。
梨花は殴りかかろうとした右腕をしまって、
バックを背負い直した。
慌てて、追いかけるように定期券を出した。
アナウンスと共に発車ベルが響いた。
ギリギリにドア付近に乗り込めた。
「なんで、置いてくの?」
「………。」
さっきまで普通に話できていたのに
急にダンマリになる朔斗。
周りの様子を見渡すと、同じ高校の生徒がが学年に関わらず何人も乗っていた。
見られていることが恥ずかしいからか。
なんでかわからない。
高校生だけじゃなく、サラリーマンや主婦、
小さな子どもを抱っこしたお母さん、
足腰が弱そうなおばあちゃんが乗っていた。
人に見られるのも嫌なのか。
改札口に入る前は、
恥ずかしいくらいに梨花をおんぶしていた。
かなり目立っていた気がするが、
謎が深まった。
吊り革をつかんで、窓の外を見る朔斗は
無表情で、梨花がいることを忘れているかの
ようだった。
話しかけにくいなと思った梨花は、
スマホを取り出して、耳にイヤホンをつけた。
好きな音楽をつけて、気分を紛らわそうとした。
耳につけていたコードつきイヤホンが
何度か取れた。
(もう、せっかく聞いていたのに)と
ブツブツと文句を言いながら、何度も耳につけた。
そのイヤホンは自然にぽろんと落ちたわけではなくて、朔斗がいたずらでバレないように外していた。
梨花はそれに全然気づかない。
朔斗は気づかれないなとゲームのように
楽しんでいた。
何も話さなくても、
関わっているだけで楽しんでいた。
いじわるしたかっただけだ。
梨花は、朔斗のことを忘れて、
何度も落ちるイヤホンにイライラしていた。