好きって言わなくても分かるでしょ
第39話 逃避と葛藤
静かになった放課後の教室。
梨花と朔斗以外は
他のクラスメイトはおのおの部活動もしくは
帰宅していた。
今日は梨花は日直当番で日誌を書いていた。
書くのをすっかり忘れていて、
放課後になってしまった。朔斗は一緒に残って、
梨花の席の前に座って
待っていた。
「あれ、今日って晴れてたっけ。」
シャープペンをくるくるとまわして考えた。
「んー、多分、朝から曇り?
晴れでもあるけど、雲も多かった気がする。」
朔斗はカーテンをめくって外を見た。
「えー,晴れか曇りの違いってなんだっけ。」
「雲の数じゃないの?0だったら、快晴とか
雲が1つ以上あったら曇りとか?」
「そうだっけ?全然わからないけど。
確かに空見ると雨も降ってないのに黒い雲
あるから曇りでいいかなぁ。
あとは、時間割うつすんだよね。」
掲示板に貼ってある時間割を確認して、
6時間目までの教科を書こうした。
梨花の前の席から日誌を覗いて教科を
照らし合わせる。
「梨花、今日、何曜日?」
「え、火曜日でしょう?」
「違うって。水曜日だよ。」
「え、嘘。今朝起きた時から火曜日だと思ってた。
だって、今日、SnowManの番組あるでしょう?」
「それ、昨日だから。」
「あ、嘘!見逃したーーーー。
う、う、私のさっくんが。」
泣きながら、水曜日の科目を記入していく。
朔斗はため息をついて、呆れている。
「誰か私のさっくんだよ。
ここにいるだろ、毎日『さっくん』が。」
胸を叩いて、どや顔をした。
「あーーーー。」
梨花は、朔斗のことは眼中に無しのようで
涙がとまらない。
「って、おい!話を聞け。」
「……朔斗は良いよね。
お気楽で。あたしなんてさ、
推しのアイドルを見逃すのよ。
本当、ごめんなさいだよ。
さっくん、来週は絶対見るからね。」
梨花はバックの中に入れていた
Snow Manの佐久間大介の
キーホルダーに声をかけた。
「てかさ、リアルタイムで見なくても
今配信アプリあるだろ。
それで見ればいいだろ。」
「……リアタイが良いの。
だめ、録画は。
推し愛が足りない!!」
「ああ、そう。」
(そんなこと言うなら、
俺に対する愛は
どこに言ったんだよ。
もう、付き合って1ヶ月だよ。)
梨花は朔斗という恋人ができたにも
関わらず、なぜかテレビによく出る
アイドルに夢中になっていた。
一緒に帰ったり,話すことが当たり前に
なってきた今、それ以上の進展がなかった。
梨花はもう、期待するのを諦めていた。
ただ、朔斗の恋人であるという肩書きで
満足している状態になっていた。
案外噂を聞くと朔斗は学年女子の
中でモテるらしい。
それを聞いてから、
もう、何だか天狗のように
鼻高々になりつつある。
そして、恋のステップアップを
登ろうとした矢先にSNSで見つけた
朔斗と同じ『さ』のつくアイドルを見て、
現実逃避し始めた。
日直の日誌を書き終えようとした頃、
「なぁ、梨花。もうすぐ夏休みになるだろう。
一緒にどこか行こうな。
そうだなぁ、やっぱ、デートはお祭りとか。
小さい頃に一緒に行ったことあるけど、
あの時は家族と一緒だったもんなぁ。
花火大会とか良いよなぁ。」
「……。」
嬉しいはずのデートの誘いを梨花は、
ワイヤレスイヤホンをして、
SnowManの新曲を何度も聴いていた。
「ちょっと、聴いてるの!?」
朔斗は、ワイヤレスイヤホンをぽろんと外した。
「あーー、ちょっと、新曲聴いてたのに!」
「梨花、俺ら、付き合ってるんだろ?
夏休みくらいしか
まともにデートできないんだから
真剣に聞けよ。」
「え?デート。
嘘、朔斗の口からそんな言葉出るとは
思わなかった。
そっか、夏休みやっと2人で
出かけられるんだね。
楽しみにしてるよ。
あ、部活行かないと
ほら、朔斗も行くんでしょう。
時間が合えば一緒に帰ろうね。」
何かから逃げるように梨花はバックを肩にかけて
日誌を持った。
何だか素直に対応できなくなっている。
これ以上、深い関係になることに
自信がなくなっていた。
恵麻や美貴の彼氏の愚痴や恋人同士の流れを
聞いてると、自分にはできないんではないかと
思い始めていた。
教室を出て、朔斗にわからないように
ため息をついた。
好きってお互いに言わなくなっても
継続して恋人で居続けるのは難しいのだと学んだ。
梨花と朔斗以外は
他のクラスメイトはおのおの部活動もしくは
帰宅していた。
今日は梨花は日直当番で日誌を書いていた。
書くのをすっかり忘れていて、
放課後になってしまった。朔斗は一緒に残って、
梨花の席の前に座って
待っていた。
「あれ、今日って晴れてたっけ。」
シャープペンをくるくるとまわして考えた。
「んー、多分、朝から曇り?
晴れでもあるけど、雲も多かった気がする。」
朔斗はカーテンをめくって外を見た。
「えー,晴れか曇りの違いってなんだっけ。」
「雲の数じゃないの?0だったら、快晴とか
雲が1つ以上あったら曇りとか?」
「そうだっけ?全然わからないけど。
確かに空見ると雨も降ってないのに黒い雲
あるから曇りでいいかなぁ。
あとは、時間割うつすんだよね。」
掲示板に貼ってある時間割を確認して、
6時間目までの教科を書こうした。
梨花の前の席から日誌を覗いて教科を
照らし合わせる。
「梨花、今日、何曜日?」
「え、火曜日でしょう?」
「違うって。水曜日だよ。」
「え、嘘。今朝起きた時から火曜日だと思ってた。
だって、今日、SnowManの番組あるでしょう?」
「それ、昨日だから。」
「あ、嘘!見逃したーーーー。
う、う、私のさっくんが。」
泣きながら、水曜日の科目を記入していく。
朔斗はため息をついて、呆れている。
「誰か私のさっくんだよ。
ここにいるだろ、毎日『さっくん』が。」
胸を叩いて、どや顔をした。
「あーーーー。」
梨花は、朔斗のことは眼中に無しのようで
涙がとまらない。
「って、おい!話を聞け。」
「……朔斗は良いよね。
お気楽で。あたしなんてさ、
推しのアイドルを見逃すのよ。
本当、ごめんなさいだよ。
さっくん、来週は絶対見るからね。」
梨花はバックの中に入れていた
Snow Manの佐久間大介の
キーホルダーに声をかけた。
「てかさ、リアルタイムで見なくても
今配信アプリあるだろ。
それで見ればいいだろ。」
「……リアタイが良いの。
だめ、録画は。
推し愛が足りない!!」
「ああ、そう。」
(そんなこと言うなら、
俺に対する愛は
どこに言ったんだよ。
もう、付き合って1ヶ月だよ。)
梨花は朔斗という恋人ができたにも
関わらず、なぜかテレビによく出る
アイドルに夢中になっていた。
一緒に帰ったり,話すことが当たり前に
なってきた今、それ以上の進展がなかった。
梨花はもう、期待するのを諦めていた。
ただ、朔斗の恋人であるという肩書きで
満足している状態になっていた。
案外噂を聞くと朔斗は学年女子の
中でモテるらしい。
それを聞いてから、
もう、何だか天狗のように
鼻高々になりつつある。
そして、恋のステップアップを
登ろうとした矢先にSNSで見つけた
朔斗と同じ『さ』のつくアイドルを見て、
現実逃避し始めた。
日直の日誌を書き終えようとした頃、
「なぁ、梨花。もうすぐ夏休みになるだろう。
一緒にどこか行こうな。
そうだなぁ、やっぱ、デートはお祭りとか。
小さい頃に一緒に行ったことあるけど、
あの時は家族と一緒だったもんなぁ。
花火大会とか良いよなぁ。」
「……。」
嬉しいはずのデートの誘いを梨花は、
ワイヤレスイヤホンをして、
SnowManの新曲を何度も聴いていた。
「ちょっと、聴いてるの!?」
朔斗は、ワイヤレスイヤホンをぽろんと外した。
「あーー、ちょっと、新曲聴いてたのに!」
「梨花、俺ら、付き合ってるんだろ?
夏休みくらいしか
まともにデートできないんだから
真剣に聞けよ。」
「え?デート。
嘘、朔斗の口からそんな言葉出るとは
思わなかった。
そっか、夏休みやっと2人で
出かけられるんだね。
楽しみにしてるよ。
あ、部活行かないと
ほら、朔斗も行くんでしょう。
時間が合えば一緒に帰ろうね。」
何かから逃げるように梨花はバックを肩にかけて
日誌を持った。
何だか素直に対応できなくなっている。
これ以上、深い関係になることに
自信がなくなっていた。
恵麻や美貴の彼氏の愚痴や恋人同士の流れを
聞いてると、自分にはできないんではないかと
思い始めていた。
教室を出て、朔斗にわからないように
ため息をついた。
好きってお互いに言わなくなっても
継続して恋人で居続けるのは難しいのだと学んだ。