エンドレス・ラプソディ
「誰だよ、おまえ」
アッシュブラウンの短髪はシャワーを浴びた直後なので、濡れて水滴が毛先からぽたぽたと落ちている。
ちょっとチャラい感じはするが、二十代にはありがちな態度で嫌な印象まではない。
「おまえの妻ってだれ」
「ゆ、結花子だよ」
鋭い目で見下ろされてシャープナー男は少し怯えている。
「結花子? あー……」
「ほ、ほら! やっぱり知っ──」
「そいつ、俺のストーカーな」
「へ?」
「俺、そこの店でホストやってんだわ」
親指で左をさし、水もしたたるいい男ばりに前髪をかき上げる。
なるほど、ホストか。それでこの青年の仕草に納得がいった。しかし、こんな事件に連続で遭遇するなんてついてない。
「え? ストーカー? え?」
思いもしなかった発言に、シャープナー男は狼狽えている。
「何度か指名されて、腕時計のプレゼントもらってから、やたら束縛するようになってきたんだよ」
他の客に笑いかけるなとか、見送りもするなとか。
「他の客と話をするなって。そんなの無理に決まってるじゃねえか。断ったら今度は、付きまとうようになってよ」
店側は悪質な客と判断し、彼女を出入禁止にした。
アッシュブラウンの短髪はシャワーを浴びた直後なので、濡れて水滴が毛先からぽたぽたと落ちている。
ちょっとチャラい感じはするが、二十代にはありがちな態度で嫌な印象まではない。
「おまえの妻ってだれ」
「ゆ、結花子だよ」
鋭い目で見下ろされてシャープナー男は少し怯えている。
「結花子? あー……」
「ほ、ほら! やっぱり知っ──」
「そいつ、俺のストーカーな」
「へ?」
「俺、そこの店でホストやってんだわ」
親指で左をさし、水もしたたるいい男ばりに前髪をかき上げる。
なるほど、ホストか。それでこの青年の仕草に納得がいった。しかし、こんな事件に連続で遭遇するなんてついてない。
「え? ストーカー? え?」
思いもしなかった発言に、シャープナー男は狼狽えている。
「何度か指名されて、腕時計のプレゼントもらってから、やたら束縛するようになってきたんだよ」
他の客に笑いかけるなとか、見送りもするなとか。
「他の客と話をするなって。そんなの無理に決まってるじゃねえか。断ったら今度は、付きまとうようになってよ」
店側は悪質な客と判断し、彼女を出入禁止にした。