ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
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それは突然だった、凪咲が千晶とあんな会話を交わした翌日。その日もブースは慌ただしく、来客たちを迎えていたが、その波も夕方になり、ようやく収まり、受付嬢たちがそろそろクロ-ジング業務に入ろうとした時だった。
「よう、ご無沙汰。」
ひとりの男が、そんな言葉と共にフラッとブースの前に現れた。
「ジュニア。」
裕だった。相変わらず、とてもビジネス用とは思えない派手めの色のス-ツに身を包んだ彼は
「いやいや、いつもながらみなさんお美しい。我が社の受付嬢は美女揃いとお取引先からも評判で、僕としても鼻が高い。ありがとうございます。」
ニヤニヤと笑いながら、そう言って頭を下げる。そんな裕を見て、凪咲も貴恵も苦々しい表情を浮かべている中、ひとり千晶は
「ジュニア、今まで、どこ行ってらしたんですか?急にいなくなって、みんなで心配してたんですよ?」
笑顔を浮かべて、彼に言う。
「いやぁ、悪かったなぁ。実は親父から、いろいろ宿題出されちゃってさぁ。俺、昔っから、勉強嫌いだから、参ったよ。でもまぁ、なんとか終わったからさ。」
「そうだったんですか?じゃ、よかったですね。」
「ああ。それで、親父はいる?」
「はい、先ほど外出から、お戻りになられました。」
「そう。じゃ、ちょっと顔出して、宿題終わったって、報告して来るか。」
「行ってらっしゃい。」
「サンキュ-、千晶ちゃん。」
取り巻きの女子社員たちから「ジュニアスマイル」と名付けられ、尊ばれている笑顔を残して、裕がブースを離れて行くと、彼の姿をめざとく見つけた面々が
「あっ、ジュニア!」
「帰って来たんですね!」
と歓喜の声を上げて駆け寄り、彼もそれに応えるかのように、ジュニアスマイルを向けたが
「ああ、心配掛けて済まなかったな。明日から、またよろしくな。」
「はい!」
などと言いながら、賑やかにエレベ-タ-に乗り込んで行く。その光景を見ながら
「でもよかった、ジュニア元気そうで。」
と安堵の声を上げた千晶の横で
「社長の勘気を被って、謹慎させられてたって話、満更間違ってなかったみたいね。」
「ええ。でも、あんまりというか、全然態度変わってないみたいです。」
「困ったバカ息子だね・・・。」
冷ややかな言葉を投げつける貴恵に頷いた凪咲は、内心ため息を吐いていた。
「よう、ご無沙汰。」
ひとりの男が、そんな言葉と共にフラッとブースの前に現れた。
「ジュニア。」
裕だった。相変わらず、とてもビジネス用とは思えない派手めの色のス-ツに身を包んだ彼は
「いやいや、いつもながらみなさんお美しい。我が社の受付嬢は美女揃いとお取引先からも評判で、僕としても鼻が高い。ありがとうございます。」
ニヤニヤと笑いながら、そう言って頭を下げる。そんな裕を見て、凪咲も貴恵も苦々しい表情を浮かべている中、ひとり千晶は
「ジュニア、今まで、どこ行ってらしたんですか?急にいなくなって、みんなで心配してたんですよ?」
笑顔を浮かべて、彼に言う。
「いやぁ、悪かったなぁ。実は親父から、いろいろ宿題出されちゃってさぁ。俺、昔っから、勉強嫌いだから、参ったよ。でもまぁ、なんとか終わったからさ。」
「そうだったんですか?じゃ、よかったですね。」
「ああ。それで、親父はいる?」
「はい、先ほど外出から、お戻りになられました。」
「そう。じゃ、ちょっと顔出して、宿題終わったって、報告して来るか。」
「行ってらっしゃい。」
「サンキュ-、千晶ちゃん。」
取り巻きの女子社員たちから「ジュニアスマイル」と名付けられ、尊ばれている笑顔を残して、裕がブースを離れて行くと、彼の姿をめざとく見つけた面々が
「あっ、ジュニア!」
「帰って来たんですね!」
と歓喜の声を上げて駆け寄り、彼もそれに応えるかのように、ジュニアスマイルを向けたが
「ああ、心配掛けて済まなかったな。明日から、またよろしくな。」
「はい!」
などと言いながら、賑やかにエレベ-タ-に乗り込んで行く。その光景を見ながら
「でもよかった、ジュニア元気そうで。」
と安堵の声を上げた千晶の横で
「社長の勘気を被って、謹慎させられてたって話、満更間違ってなかったみたいね。」
「ええ。でも、あんまりというか、全然態度変わってないみたいです。」
「困ったバカ息子だね・・・。」
冷ややかな言葉を投げつける貴恵に頷いた凪咲は、内心ため息を吐いていた。