ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
この日もいろいろありながら、時が過ぎて行く。夕方になり、来客の人数が減り、逆に外出から帰社して来る社員の数が増えて来ると、受付嬢たちの勤務時間が終わりに近づいて来ている証だ。
「戻りました~。」
黙って通り過ぎて行くか、せいぜい黙礼して行くくらいの社員が多い中、今、挨拶して来た営業部の早川雅弘は、ブースが込み合ってない限りは、必ず声を掛けて来る社員だった。
「早川さん、お帰りなさい。」
「ありがとう。菱見さんのその笑顔を見れば、1日の疲れも吹き飛ぶよ。」
嬉しそうな表情で、早川が言って来るのに
「そうですか、そう言っていただきますと私も嬉しいです。」
凪咲はにこやかに言葉を返す。
「僕だけじゃないよ。菱見さん、社内外にファンが多いんだから。」
「またまた御冗談を。」
「いや、本当だって。」
などと言いながら、なかなかブースを離れようとしない早川に
「見え透いたお世辞はいいから、さっさとオフィスに戻りなさいよ。こんな所で油売ってる暇なんて、営業部さんにはないはずでしょ。」
と突き放すような口調で言ったのは貴恵。
「お世辞って失礼だろ。俺は本当のことを・・・。」
「じゃ、言い方変える。君の無駄話にお付き合いしてる程、私たちは暇じゃないってこと。」
「なっ・・・。」
とまで決めつけられた早川は、貴恵の顔を見て、一瞬絶句した後
「わかったよ。全くあんたみたいな感じ悪い女が、受付ブースチ-フなんて、人事部は何考えてるんだろうな。」
と捨て台詞を吐くと、足早にブースを離れて行く。その後ろ姿を見ながら
「菱見さん、あなたもあんなお調子者の相手を、真面目にしてやらなくていいから。」
貴恵が厳しい口調で言う。
「すみません。でもあんまり無下にするのも、早川さんに失礼かと思いまして・・・。」
言い訳する凪咲に
「あなたは派遣社員だから、正社員に遠慮があるのかもしれないけど、相手は同い年なんだし、仕事の邪魔する奴にはピシッと言っていいんだからね。」
と続けた貴恵は
「じゃ、そろそろ後片付けに入るよ。」
そう言って、ブースを出る。貴恵は早川とは同期入社なのだが、かねて反りが合わないらしい。彼のように受付嬢に色目を使うような言動をする男に対しては嫌悪感を持っているようだし、ブースで社員や来客と仕事以外の雑談をすることも好まない。でも・・・
「あのくらい、そんな目くじら立てることでもないと思いませんか?。」
不満げに呟いた千晶に
「まぁね、でも桜内さんが言ってることは間違ってはいないから。」
と宥めるように言って、凪咲は笑顔を浮かべた。
「戻りました~。」
黙って通り過ぎて行くか、せいぜい黙礼して行くくらいの社員が多い中、今、挨拶して来た営業部の早川雅弘は、ブースが込み合ってない限りは、必ず声を掛けて来る社員だった。
「早川さん、お帰りなさい。」
「ありがとう。菱見さんのその笑顔を見れば、1日の疲れも吹き飛ぶよ。」
嬉しそうな表情で、早川が言って来るのに
「そうですか、そう言っていただきますと私も嬉しいです。」
凪咲はにこやかに言葉を返す。
「僕だけじゃないよ。菱見さん、社内外にファンが多いんだから。」
「またまた御冗談を。」
「いや、本当だって。」
などと言いながら、なかなかブースを離れようとしない早川に
「見え透いたお世辞はいいから、さっさとオフィスに戻りなさいよ。こんな所で油売ってる暇なんて、営業部さんにはないはずでしょ。」
と突き放すような口調で言ったのは貴恵。
「お世辞って失礼だろ。俺は本当のことを・・・。」
「じゃ、言い方変える。君の無駄話にお付き合いしてる程、私たちは暇じゃないってこと。」
「なっ・・・。」
とまで決めつけられた早川は、貴恵の顔を見て、一瞬絶句した後
「わかったよ。全くあんたみたいな感じ悪い女が、受付ブースチ-フなんて、人事部は何考えてるんだろうな。」
と捨て台詞を吐くと、足早にブースを離れて行く。その後ろ姿を見ながら
「菱見さん、あなたもあんなお調子者の相手を、真面目にしてやらなくていいから。」
貴恵が厳しい口調で言う。
「すみません。でもあんまり無下にするのも、早川さんに失礼かと思いまして・・・。」
言い訳する凪咲に
「あなたは派遣社員だから、正社員に遠慮があるのかもしれないけど、相手は同い年なんだし、仕事の邪魔する奴にはピシッと言っていいんだからね。」
と続けた貴恵は
「じゃ、そろそろ後片付けに入るよ。」
そう言って、ブースを出る。貴恵は早川とは同期入社なのだが、かねて反りが合わないらしい。彼のように受付嬢に色目を使うような言動をする男に対しては嫌悪感を持っているようだし、ブースで社員や来客と仕事以外の雑談をすることも好まない。でも・・・
「あのくらい、そんな目くじら立てることでもないと思いませんか?。」
不満げに呟いた千晶に
「まぁね、でも桜内さんが言ってることは間違ってはいないから。」
と宥めるように言って、凪咲は笑顔を浮かべた。