ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「はっきりとはおっしゃらないけど、たぶんジュニアは三嶋さんを正式に秘書にしたいのよ。あなたのことは、だいぶ信頼されてるようだから。」
「私もこのまま、新城さんのお手伝いをして行きたい気持ちはありますが、、さすがに常務秘書になって、まだそんなに時が経ってませんから、やはり・・・。」
「そうよねぇ・・・。」
そんな会話を交わして、オフィスを出た理沙は、常務室に寄って、メールや書類をチェックしながら
(ジュニアが本当に秘書にしたい意中の人はもちろん私じゃなくて、ひとりしかいない。彼女が諦めきれないのよ・・・。)
そんなことを考えていたが、やがて意を決したように、自分のスマホを取り出した。
それから少し後、着替えを終え、エントランスに降り立った理沙を
「三嶋さん、お疲れ様でした。」
と出迎えたのは凪咲だった。
「お待たせ。」
理沙が笑顔で言うと
「いえ、大丈夫です。」
凪咲は、首を振る。
「じゃ、行こうか。」
「はい。」
ふたりは、肩を並べて、会社を後にした。歩きながら
「菱見さんはアルコ-ルより食べる方がいいよね?」
「はい。」
と確認した理沙が、凪咲を連れて向かったのは、近くのイタリアンカフェだった。席に着き、注文を終え、改めて向き合うと
「急に誘って悪かったね。」
理沙が切り出した。
「いえ。」
「まず率直に聞いちゃうけど、本当にウチの会社、辞めちゃうの?」
理沙は尋ねる。
「はい。受付嬢のお仕事は初めてでしたけど、とってもやりがいのある楽しい仕事でした。でも、派遣社員には3年ルールがありますし、ちょうどいい区切りだと思いまして。」
「故郷に帰るって聞いたけど。」
「まだ完全に決めたわけではないですけど、そのつもりでいます。」
「そっか・・・。」
そう言った後、少し間を置いた理沙が
「菱見さんがウチの会社に来てすぐの頃、私に話してくれたよね。なんで前の会社を辞めたのかって。」
と、改めて切り出すと
「そうでした。失恋のショックで、仕事に身が入らなくなって、ミスを連発した挙句に、居づらくなって辞めたなんて、恥ずかしくて、派遣元のコーディネ-タ-にも言えなかったんですけど、あの時はなぜか、直属の上司の三嶋さんと秘書課長にだけはお話しした方がいいのかな、と思ってしまって・・・。今から思うと、あんなプライベ-トのことをお話しして、ご迷惑でしたよね。」
やや恥ずかしそうな表情を浮かべて、凪咲は答えた。
「私もこのまま、新城さんのお手伝いをして行きたい気持ちはありますが、、さすがに常務秘書になって、まだそんなに時が経ってませんから、やはり・・・。」
「そうよねぇ・・・。」
そんな会話を交わして、オフィスを出た理沙は、常務室に寄って、メールや書類をチェックしながら
(ジュニアが本当に秘書にしたい意中の人はもちろん私じゃなくて、ひとりしかいない。彼女が諦めきれないのよ・・・。)
そんなことを考えていたが、やがて意を決したように、自分のスマホを取り出した。
それから少し後、着替えを終え、エントランスに降り立った理沙を
「三嶋さん、お疲れ様でした。」
と出迎えたのは凪咲だった。
「お待たせ。」
理沙が笑顔で言うと
「いえ、大丈夫です。」
凪咲は、首を振る。
「じゃ、行こうか。」
「はい。」
ふたりは、肩を並べて、会社を後にした。歩きながら
「菱見さんはアルコ-ルより食べる方がいいよね?」
「はい。」
と確認した理沙が、凪咲を連れて向かったのは、近くのイタリアンカフェだった。席に着き、注文を終え、改めて向き合うと
「急に誘って悪かったね。」
理沙が切り出した。
「いえ。」
「まず率直に聞いちゃうけど、本当にウチの会社、辞めちゃうの?」
理沙は尋ねる。
「はい。受付嬢のお仕事は初めてでしたけど、とってもやりがいのある楽しい仕事でした。でも、派遣社員には3年ルールがありますし、ちょうどいい区切りだと思いまして。」
「故郷に帰るって聞いたけど。」
「まだ完全に決めたわけではないですけど、そのつもりでいます。」
「そっか・・・。」
そう言った後、少し間を置いた理沙が
「菱見さんがウチの会社に来てすぐの頃、私に話してくれたよね。なんで前の会社を辞めたのかって。」
と、改めて切り出すと
「そうでした。失恋のショックで、仕事に身が入らなくなって、ミスを連発した挙句に、居づらくなって辞めたなんて、恥ずかしくて、派遣元のコーディネ-タ-にも言えなかったんですけど、あの時はなぜか、直属の上司の三嶋さんと秘書課長にだけはお話しした方がいいのかな、と思ってしまって・・・。今から思うと、あんなプライベ-トのことをお話しして、ご迷惑でしたよね。」
やや恥ずかしそうな表情を浮かべて、凪咲は答えた。