ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「そんなことないよ。私はむしろ嬉しかった、あなたが私のことを上長として信頼して、心を開いてくれたんだって。」
「そう言っていただけると、私もホッとします。」
そこへ、注文した料理が運ばれて来たので、ふたりはナイフとフォークを手に取った。
「優しい味ですね。」
「うん、だからつい食べ過ぎちゃう。」
「わかります。」
そんな会話を交わしながら、料理を食べ進めていたふたりだったが
「それで・・・その失恋相手がジュニアだったってことでいいんだよね?」
やがて、理沙がそう尋ねて来た。
「はい。」
頷いた凪咲に
「世の中、広いようで狭いね。」
そう言って、理沙は笑う。
「正直、驚きました。」
「でもせっかく想い人に再会して、一緒に仕事したいって誘われたのに、断って、逆に離れようとしている理由は?」
「それは・・・彼に失望したからです。」
凪咲ははっきりと言った。
「前の会社の同期生で、私の偽彼氏、偽装同居相手を務めてくれたあの人は、物静かであんまり周りと賑やかに騒いだりはしない人でしたけど、何事にも真面目で、誠実な人でした。そんな彼と、一緒の時間を過ごしているうちに、私は彼を好きになっていました。でも・・・再会した彼は、私の知ってる、好きになった彼とは別人だったんです。」
「そっか、そうだよね・・・。私も驚いたよ。」
「えっ?」
「私、ブースに行く前は、海外営業部に所属してたっていうのは、前にも話したと思うけど、その当時は、海外出張もよくあったから、ジュニアに何回か会ったことがあるんだよ。その時は、まぁ正直物静かという感じはしなかったけど、それなりに爽やかな好青年だと思ったからね。」
,
「そうだったんですか。」
「それに今、臨時秘書として、ジュニアを側で見ているけど、プロジェクトにひたむきに取り組んでいる。」
「そうですか。だとしたら、私は余計、新城さんの側にいるべきではないと思います。」
「えっ?」
凪咲の言葉に、理沙が驚いたように、彼女を見ると
「私と新城さんのことは既に社内の多くの方に認識されちゃってます。私たちの関係の真実が、どこまで伝わっているのかはわかりませんけど、そんな因縁のある、それも派遣社員の私をわざわざ秘書にすることは、いろいろな詮索や穿った見方をされるだけで、それはこれからの新城さんの立場にも、新たにスタートした大切なプロジェクトにも、絶対にプラスにはならないはずです。」
凪咲は静かに言った。
「菱見さん・・・。」
「そう言っていただけると、私もホッとします。」
そこへ、注文した料理が運ばれて来たので、ふたりはナイフとフォークを手に取った。
「優しい味ですね。」
「うん、だからつい食べ過ぎちゃう。」
「わかります。」
そんな会話を交わしながら、料理を食べ進めていたふたりだったが
「それで・・・その失恋相手がジュニアだったってことでいいんだよね?」
やがて、理沙がそう尋ねて来た。
「はい。」
頷いた凪咲に
「世の中、広いようで狭いね。」
そう言って、理沙は笑う。
「正直、驚きました。」
「でもせっかく想い人に再会して、一緒に仕事したいって誘われたのに、断って、逆に離れようとしている理由は?」
「それは・・・彼に失望したからです。」
凪咲ははっきりと言った。
「前の会社の同期生で、私の偽彼氏、偽装同居相手を務めてくれたあの人は、物静かであんまり周りと賑やかに騒いだりはしない人でしたけど、何事にも真面目で、誠実な人でした。そんな彼と、一緒の時間を過ごしているうちに、私は彼を好きになっていました。でも・・・再会した彼は、私の知ってる、好きになった彼とは別人だったんです。」
「そっか、そうだよね・・・。私も驚いたよ。」
「えっ?」
「私、ブースに行く前は、海外営業部に所属してたっていうのは、前にも話したと思うけど、その当時は、海外出張もよくあったから、ジュニアに何回か会ったことがあるんだよ。その時は、まぁ正直物静かという感じはしなかったけど、それなりに爽やかな好青年だと思ったからね。」
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「そうだったんですか。」
「それに今、臨時秘書として、ジュニアを側で見ているけど、プロジェクトにひたむきに取り組んでいる。」
「そうですか。だとしたら、私は余計、新城さんの側にいるべきではないと思います。」
「えっ?」
凪咲の言葉に、理沙が驚いたように、彼女を見ると
「私と新城さんのことは既に社内の多くの方に認識されちゃってます。私たちの関係の真実が、どこまで伝わっているのかはわかりませんけど、そんな因縁のある、それも派遣社員の私をわざわざ秘書にすることは、いろいろな詮索や穿った見方をされるだけで、それはこれからの新城さんの立場にも、新たにスタートした大切なプロジェクトにも、絶対にプラスにはならないはずです。」
凪咲は静かに言った。
「菱見さん・・・。」