ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「と、いうことで。」


表情を改めた裕は


「俺の方のカードは、これで全部オープンにしたから。」


そう言って、凪咲を見たが


「ううん。」


首を振る凪咲。


「確かにいろいろ、聞き捨てならないことを聞かせてもらったけど、私、まだ一番肝心なことを、裕から聞いてない。」


「凪咲・・・。」


「まず、キチンと確認させて欲しいことがある。裕はあのことがある前から、私のことを意識してた。その認識でいいの?」


「そうだよ、ちゃんとそう言ったろ?」


「じゃ、今は?」


「えっ?」


「こうしてふたりきりで向かい合っている今、この瞬間、裕は私のことをどう思ってるの?」


「それもちゃんと・・・。」


「言ってないし、聞いてない。」


凪咲は遮るように言う。


「3年前のあれは、前にも言ったけど、ノーカンだからね。」


「・・・。」


「再会してからも、なんか、いろいろ匂わせみたいなことは言われては来たし、さっきは、一緒にここで住もうとも言われた。でも、あなたが私をどう思ってるのか?そのストレ-トな気持ちを、結局、私はあなたから聞いたことがないの。」


そう言って、凪咲は真っすぐな視線を、裕に向ける。その真剣なまなざしに、ハッとした表情を浮かべた裕は


「そうだ、そうだったな・・・凪咲の言う通りだ。すまん。」


と言うと、頭を下げた。そして頭を上げると


「凪咲のことが好きです。」


はっきりとそう告げた。


「3年前はその自分の気持ちに蓋をして、逃げるしかなかった。でも・・・今はもう違う。」


「裕・・・。」


「俺には凪咲が必要なんだ。今度こそ、お前と偽物じゃない、本物の関係を築きたいんだよ。だから・・・俺にチャンスをくれないか?」


真っ直ぐに凪咲を見た。そして、凪咲もまた裕を見つめる。どのくらい経っただろう。


「あの時ね。」


口を開いたのは凪咲だった。


「あのことがあった次の夜、私は裕の帰りを待ってたんだよ。あなたに、自分の気持ちを伝えようと決心したから。」


「自分の気持ち?」


「あなたのことが本当に好きになりました。もう偽装同居も偽恋人も終わりにして、本物の関係を築きましょうって。まさに、さっきあなたがくれたのと、同じ言葉を伝えるつもりだった。心地よかったんだ、あなたとの時間が。そして、一緒に暮らして行くうちに、あなたにどんどん惹かれて行った。もうあの時点で、あなたとの時間を終わらせる理由なんて、私にはなくなってたんだ。だからこそ、もともとは私が望んだウソから全てが始まったんだから、私の方からあなたにそう伝えたかったの。」


「凪咲・・・」


「でもさ。」


ここで凪咲の口調が少し変わった。
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