ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
果たして


「ごめんなさい。ご存じの通り、私は派遣でこちらの正社員じゃないから・・・。そんな席に私が伺うことは、かえってご迷惑をお掛けすると思うから・・・。」


と、申し訳なさそうに、断りの言葉を口にした凪咲だが


「そんなの気にしなくて大丈夫ですよ。凪咲さんはそういう席があんまり好きじゃないみたいですけど、先方がせっかく私たちとって言って下さってるんですから、一緒に行きましょうよ。」


千晶は熱心に口説いて来る。


「それに私、もう28だよ。合コンなんて年齢じゃ・・・。」


「昔は女性の合コン適齢期は25までなんて失礼なことが言われてたらしいですけど、今は全然そんなことはありませんよ。4つ下の私より、凪咲さんの方がよっぽど人気高いんですから、自信持って大丈夫です。」


すっかり乗り気の千晶に対し


「でも・・・。」


尚も尻込みする凪咲。そんな彼女の顔を、千晶は少し眺めていたが


「前から思ってたんですけど、凪咲さんって、恋愛苦手系というか、恋愛興味なし系の人ですか?」


そんなことを言い出した。暇な時間帯でもブースを離れられない受付嬢は、そんな時はまったり雑談にふけることがあるのだが、どこどこのご飯屋さんが美味しいとか、あそこのカフェのケーキがやばいと言った話題には食いつきがいい凪咲が、彼氏がどうとか、気になる人がいるのかなんて会話になると途端に口が重くなり、ほとんど聞き役に徹しているのが、千晶はずっと気になっていたのだ。


「まぁ得意ではないけど、興味がないわけでもないよ。」


そんな凪咲の答えに


「だったら、是非行きましょうよ。早川さん曰く、お相手もエリ-トのイケメン揃いだそうですし、行って損はないと思いますよ。」


千晶は声を励ます。結局、その勢いに断り切れず、一晩考えさせてということで、一旦話を打ち切って、凪咲は席を立った。会社を出て、帰りの電車に揺られながら


(合コンって、感染症の影響とかで、あんまり流行らなくなったって聞いてたけど、最近はまた盛り返して来てるのかな・・・?)


そんな思いが浮かんで来たが


(それより今晩のおかず、どうしよう?)


今の凪咲には、そちらの方が重大な問題だった。
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