ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
そんな女性から見れば、自分など認められるわけがないと、凪咲は半ば絶望的な気分になったが、それでも
(私がいかに裕を愛しているか、大切に思っているか、それをわかっていただくしかない。)
と覚悟を決めて、慶子との面談に臨んだ。いろいろ厳しい質問も飛ぶ中、1つ1つ懸命に、誠実に答える凪咲の姿を見ていた慶子の表情が、やがて和らいだ。
「凪咲さん。私は、裕をこの世に産み落としたという意味では、確かに母親だけど、しかし実際には何1つ、母親らしいことをしてあげた記憶もない。この子のことは、義母に丸投げでした。この子がここまでちゃんと育ったのは全て義母のお陰、感謝してます。でも母親の愛情を受けられず、裕はきっと寂しい思いもしたと思います。勝手なお願いですが、凪咲さんには、私の分まで、この子に愛情を注いでやって下さい。よろしくお願いします。」
「母さん・・・。」
そう言って、凪咲に頭を下げた母に、驚いたような表情を浮かべた裕の横で
「わかりました。そのことにつきましては、お任せ下さい。」
凪咲はそう言って、にっこりと微笑んだ。
そんな光景を思い出していた凪咲だったが
「何が大袈裟だ。だいたい女性の実家に結婚挨拶に行く男は、既にアウェ-なんだ。『どこの馬の骨かもわからん奴に、大事な娘はやれん』と父親が手ぐすね引いて、待ってるんだから。」
と唇を尖らせる裕を
「あのね、いつの時代のドラマを見たのか知らないけど、今どきそんなことを言う父親がいるわけないでしょ?それに裕は、もうウチの親には会ったことがあるんだし・・・。」
宥めるように言った。
「だから、余計悪いんだろ。」
「えっ?」
「会って、好印象を持ってもらってるならいいけど、俺の場合は全く逆だ。いいか?まだ何も知らない凪咲のご両親にとって俺は、大切な娘と同棲までした挙句、弄んで逃げてしまったとんでもない野郎。にも関わらず、いつの間にか、また娘を誑かせて、同棲させている極悪人だぞ。ご両親にしてみれば、『今更、どの面下げて我々の前に顔を出せる』って思ってても不思議ないだろう。」
「さすがにそこまでは・・・。」
「ないって言い切れるのかよ。この前、俺を連れて、実家に戻るってお前が電話した時に、携帯から親父さんが激怒している声、だだ漏れだったじゃないか。」
「まぁ、ね・・・。」
ここで会話が途切れ、重苦しい空気が車内に流れる。だが、そんなことは全く関係なく、車は着々と目的地に向かって、進んで行く。
(私がいかに裕を愛しているか、大切に思っているか、それをわかっていただくしかない。)
と覚悟を決めて、慶子との面談に臨んだ。いろいろ厳しい質問も飛ぶ中、1つ1つ懸命に、誠実に答える凪咲の姿を見ていた慶子の表情が、やがて和らいだ。
「凪咲さん。私は、裕をこの世に産み落としたという意味では、確かに母親だけど、しかし実際には何1つ、母親らしいことをしてあげた記憶もない。この子のことは、義母に丸投げでした。この子がここまでちゃんと育ったのは全て義母のお陰、感謝してます。でも母親の愛情を受けられず、裕はきっと寂しい思いもしたと思います。勝手なお願いですが、凪咲さんには、私の分まで、この子に愛情を注いでやって下さい。よろしくお願いします。」
「母さん・・・。」
そう言って、凪咲に頭を下げた母に、驚いたような表情を浮かべた裕の横で
「わかりました。そのことにつきましては、お任せ下さい。」
凪咲はそう言って、にっこりと微笑んだ。
そんな光景を思い出していた凪咲だったが
「何が大袈裟だ。だいたい女性の実家に結婚挨拶に行く男は、既にアウェ-なんだ。『どこの馬の骨かもわからん奴に、大事な娘はやれん』と父親が手ぐすね引いて、待ってるんだから。」
と唇を尖らせる裕を
「あのね、いつの時代のドラマを見たのか知らないけど、今どきそんなことを言う父親がいるわけないでしょ?それに裕は、もうウチの親には会ったことがあるんだし・・・。」
宥めるように言った。
「だから、余計悪いんだろ。」
「えっ?」
「会って、好印象を持ってもらってるならいいけど、俺の場合は全く逆だ。いいか?まだ何も知らない凪咲のご両親にとって俺は、大切な娘と同棲までした挙句、弄んで逃げてしまったとんでもない野郎。にも関わらず、いつの間にか、また娘を誑かせて、同棲させている極悪人だぞ。ご両親にしてみれば、『今更、どの面下げて我々の前に顔を出せる』って思ってても不思議ないだろう。」
「さすがにそこまでは・・・。」
「ないって言い切れるのかよ。この前、俺を連れて、実家に戻るってお前が電話した時に、携帯から親父さんが激怒している声、だだ漏れだったじゃないか。」
「まぁ、ね・・・。」
ここで会話が途切れ、重苦しい空気が車内に流れる。だが、そんなことは全く関係なく、車は着々と目的地に向かって、進んで行く。