ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「ご名答。」


そう言って、微笑んだ裕は


「凪咲が俺にくれた半年という時間、その最後の日にお前にプロポ-ズする。俺はそう決めていたんだ。だから、どうしても今日までにお前のご両親への挨拶を済ませたかったんだけど、最終日ギリギリになってしまった上に、おとうさんにもうここで決めちまえみたいな方向に持って行かれないかとひやひやしたよ。」


と続けた。


「でも、もし、ウチの両親との話がうまく行かなかったら、どうするつもりだったの?」


思わず凪咲が尋ねると


「来る時に言ったはずだぜ。その時は、凪咲は奪ってでも連れて帰るって。」


「裕・・・。」


「だけど、そんなことにならなくて、本当によかった・・・。」


そう言って、凪咲の前に立った裕は


「それでは改めて、凪咲さん。」


と呼び掛けた。


「はい。」


「随分遠回りしてしまったけど、やっとあなたに伝えることが出来ます。」


「・・・。」


「あなたを心から愛しています。そして、これからも、自分の全てを賭けて、あなたを愛し続け、そして守り抜きます。僕と結婚して下さい。」


真っ直ぐに凪咲を見つめ、そう言った裕は、懐からケースを取り出すと、それをパカッと開いて見せた。


「はい、喜んで。裕さん、これからも末永く、よろしくお願いします。」


その箱を裕の手から受け取った凪咲は、目にいっぱいの涙を浮かべながら、でも満面の笑みでそう答えると、そのまま恋人にその身を寄せて行く。それをしっかりと抱き止める裕。


「今日は記念日だって、ずっと言ってたのは、こういう意味だったんだね?」


「ああ。」


「ありがとう、とっても嬉しい。」


そう言って、その腕の中で、愛しい人を見上げた凪咲は


「もう、どこにも行かないでね。」


と念を押すように言う。


「当たり前だ、もう絶対に凪咲を離さない。」


頷いた裕は、彼女を抱きしめる力を強くする。どのくらいそうしてただろう、ようやくその身体を離して、改めて向かい合ったふたり。


「裕・・・愛してるからね。」


ややはにかみながら、そう言って来た恋人があまりにも可愛くて、また抱き寄せた裕は、躊躇なく彼女の唇を奪う。そのまま情熱的に、唇を重ね合ったふたりは、やがて、お互いを見つめ合った。


「そろそろシャワ-、浴びに行くか?」


「一緒に?」


「もちろん。」


「うん。」


コクリと頷く凪咲。


「今夜は寝かさない・・・と言いたいところだが、明日はあまり寝坊出来ないからな。」


「どうして?」


「凪咲の実家に行かないと。」


「また?」


「ああ。早速、プロポ-ズ成功を報告しないと。」


「だから、ウチの親に、近々またお邪魔しますって言ったんだ?」


「ああ。さすがに翌日に現れるとは思ってないだろうけど、いいご報告だから、構わないだろ。」


「裕は全部、計算づくなんだね。感心しちゃう。」


「凪咲に褒めてもらえて、光栄です。」


そう言って、微笑み合ったふたりは、そのまま寄り添って、バスル-ムに消えて行った・・・。



END
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