ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「企業の受付に対する考え方が変わり始めているのは間違いないのかもしれない。でも、タブレット1つで受付できる体制に移行する企業は増えてる一方、受付は有人であるべきだと考える企業も少なくないし、テクノロジーの進化で、単なる取次業務を超える役割を果たす受付も出て来てるの。私たちも変わらなくてはいけないのは確かだけど、でも私たちは決して過去の遺物として、見下されるような存在じゃない。だから、自信を持って行こう。」
「わかりました。」
「とにかく自分たちの居場所は、自分で守り抜いて、確保するしかない。それを忘れないで、来週からもよろしくね。」
熱く語る上司に、2人の部下が頷いて、この日のブースの業務は終了となった。
「なんか熱血してましたね、チ-フ。」
ブ-スを出て、コツコツとヒールの音を響かせて、離れて行く貴恵の後ろ姿を見ながら、千晶は言う。
「そうだね。」
「でも・・・。」
「うん?」
「白けたことを言うようですけど、もしブースが無くなっても、別に私たち、居場所は失わないですよね?」
「そうだね。私と違って、千晶ちゃんたちは正社員だから、ブースがなくなっても部署異動出来るからね。」
穏やかな表情でそう言った凪咲の答えに、しかし千晶はハッと彼女を見る。自分たちと違い、派遣社員の凪咲は、もしそうなれば、派遣打ち切りになって、路頭に迷いかねないのが現実なのだ。
「ご、ごめんなさい。私、また・・・。」
先日に引き続いての失言に、千晶は蒼くなるが、凪咲は静かに首を振ると
「私がそうなるのは仕方ないけど、もしそうなったら、たぶん桜内さんもこの会社にはいないと思う。」
そう言って、千晶を見る。
「どうして、そう思うんですか?」
「桜内さんの仕事に対するプライドだよ。」
「プライド、ですか?」
「2年半前、私ともうひとりの子がここに来た時、まず遭遇したのは、桜内さんからの強烈な拒否反応だった。」
「えっ?」
「この仕事が派遣社員ごときにやれるか、さすがに口にははっきり出さなかったけど、桜内さんがそう思っていたのは、肌身に感じてわかった。」
「・・・。」
「わかりました。」
「とにかく自分たちの居場所は、自分で守り抜いて、確保するしかない。それを忘れないで、来週からもよろしくね。」
熱く語る上司に、2人の部下が頷いて、この日のブースの業務は終了となった。
「なんか熱血してましたね、チ-フ。」
ブ-スを出て、コツコツとヒールの音を響かせて、離れて行く貴恵の後ろ姿を見ながら、千晶は言う。
「そうだね。」
「でも・・・。」
「うん?」
「白けたことを言うようですけど、もしブースが無くなっても、別に私たち、居場所は失わないですよね?」
「そうだね。私と違って、千晶ちゃんたちは正社員だから、ブースがなくなっても部署異動出来るからね。」
穏やかな表情でそう言った凪咲の答えに、しかし千晶はハッと彼女を見る。自分たちと違い、派遣社員の凪咲は、もしそうなれば、派遣打ち切りになって、路頭に迷いかねないのが現実なのだ。
「ご、ごめんなさい。私、また・・・。」
先日に引き続いての失言に、千晶は蒼くなるが、凪咲は静かに首を振ると
「私がそうなるのは仕方ないけど、もしそうなったら、たぶん桜内さんもこの会社にはいないと思う。」
そう言って、千晶を見る。
「どうして、そう思うんですか?」
「桜内さんの仕事に対するプライドだよ。」
「プライド、ですか?」
「2年半前、私ともうひとりの子がここに来た時、まず遭遇したのは、桜内さんからの強烈な拒否反応だった。」
「えっ?」
「この仕事が派遣社員ごときにやれるか、さすがに口にははっきり出さなかったけど、桜内さんがそう思っていたのは、肌身に感じてわかった。」
「・・・。」