ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
『ジュニア』が帰って来るらしい・・・社内に急速にそんな噂が広がり始めた。
「ジュニアって、どなたですか・・・?」
その噂を耳にした凪咲が尋ねると
「社長の長男で、恐らくこの会社を継ぐことになる新城裕さんのことですよ。ちなみに、28歳独身。」
千晶が答える。
「最後の情報は、今必要ないよね?」
冷静にツッコむ凪咲に対して
「いえ、大変重要な情報です。私は会ったことはもちろん、顔も見たことないんですけど、イケメンらしいですよ。」
なぜか、はしゃいだ様子の千晶。
「社長の命で、将来に備えての勉強ってことで、ずっと海外にいるのよ。だから、社内でもジュニアの顔を知ってる人はほとんどいないの。だから今、千晶が言ったイケメンうんぬんも『御曹司なんだから、きっと・・・。』という勝手な思い込みが独り歩きしてるだけよ。」
一方、冷ややかな口調で、言い放った貴恵は
「ジュニアがイケメンだろうとなんだろうと、そんなことはどうでもいいのよ。問題は、どうも彼が、例の業務改善委員会のトップに座るらしいの。」
苦い顔で続ける。
「えっ、そうなんですか?」
「業務改善委員会自体、ジュニアが社長に進言して、出来たらしくて、帰国したジュニアはまずは、そこのトップになって、次の株主総会で専務に選任されるというのが、筋書らしいの。『海外の企業で、女性がペコペコ来客を迎えるなんてことはない。時代錯誤も甚だしい。』って言い出したのもジュニア、常務はその尻馬に乗って、騒いでるのよ。ホント、人をバカにしてるよね。」
憤然とした口調で、貴恵は言う。
「それで、そのジュニアさんは、いつ帰国されるんですか?」
「近々って聞いてる。彼が帰って来たら、いよいよ話が動き始めるよ。」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる貴恵の横で
「うわ~、帰って来るんだぁ。どのくらいのイケメンなんだろう、楽しみ~。」
と千晶は浮かれているが
「あんた、いい加減にしなよ。」
貴恵に睨まれて、思わず首をすくめる。
(ジュニアさんが、どんな方かはわからないけど・・・厄介なことになって来たな・・・。)
失業の危機が、いよいよ現実味を帯びて来て、凪咲は思わずため息を吐いた。
「ジュニアって、どなたですか・・・?」
その噂を耳にした凪咲が尋ねると
「社長の長男で、恐らくこの会社を継ぐことになる新城裕さんのことですよ。ちなみに、28歳独身。」
千晶が答える。
「最後の情報は、今必要ないよね?」
冷静にツッコむ凪咲に対して
「いえ、大変重要な情報です。私は会ったことはもちろん、顔も見たことないんですけど、イケメンらしいですよ。」
なぜか、はしゃいだ様子の千晶。
「社長の命で、将来に備えての勉強ってことで、ずっと海外にいるのよ。だから、社内でもジュニアの顔を知ってる人はほとんどいないの。だから今、千晶が言ったイケメンうんぬんも『御曹司なんだから、きっと・・・。』という勝手な思い込みが独り歩きしてるだけよ。」
一方、冷ややかな口調で、言い放った貴恵は
「ジュニアがイケメンだろうとなんだろうと、そんなことはどうでもいいのよ。問題は、どうも彼が、例の業務改善委員会のトップに座るらしいの。」
苦い顔で続ける。
「えっ、そうなんですか?」
「業務改善委員会自体、ジュニアが社長に進言して、出来たらしくて、帰国したジュニアはまずは、そこのトップになって、次の株主総会で専務に選任されるというのが、筋書らしいの。『海外の企業で、女性がペコペコ来客を迎えるなんてことはない。時代錯誤も甚だしい。』って言い出したのもジュニア、常務はその尻馬に乗って、騒いでるのよ。ホント、人をバカにしてるよね。」
憤然とした口調で、貴恵は言う。
「それで、そのジュニアさんは、いつ帰国されるんですか?」
「近々って聞いてる。彼が帰って来たら、いよいよ話が動き始めるよ。」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる貴恵の横で
「うわ~、帰って来るんだぁ。どのくらいのイケメンなんだろう、楽しみ~。」
と千晶は浮かれているが
「あんた、いい加減にしなよ。」
貴恵に睨まれて、思わず首をすくめる。
(ジュニアさんが、どんな方かはわからないけど・・・厄介なことになって来たな・・・。)
失業の危機が、いよいよ現実味を帯びて来て、凪咲は思わずため息を吐いた。