ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
⑤
その日、朝からAOYAMA本社は、一種異様な空気に包まれていた。社内では「ジュニア」と通称され、いずれ、この会社のトップとなるはずの人物と、その存在は広く認知されていながら、実際に彼の姿を見たり、接触した経験のある人物がほとんどいない。
社長の命を受け、ずっと海外に滞在しているということは、伝わっては来ていたが、そこで彼が何をしているのかはわからない。そんな謎めいた存在だった創業家4代目となる御曹司新城裕が、ついに本日帰国し、その足で社に現れるということが発表されたからだ。
「何時くらいにいらっしゃるんでしょうね?」
「成田に着くのがお昼過ぎらしいから、現れるのは夕方じゃない?」
「当然、ここを通られますよね。」
「御曹司がこそこそ、裏口から入る必要なんかないでしょうからね。」
「うわぁ・・・なんかドキドキしちゃいますね。」
「あんたが浮かれて、どうするのよ。」
「だって、謎のベールに包まれていたイケメン御曹司が、いよいよ私たちの前に現れるんですよ。」
興奮を隠せない千晶に
「誰が来ようと私たちの仕事は変わらない。いつも通り、お迎えするだけ。だいたい、イケメンかどうか、わかったもんじゃないでしょ?」
冷や水を浴びせるように、貴恵は言う。
「ウチみたいな大企業の御曹司は、ドラマや漫画の世界じゃ、イケメンに決まってます。」
「今、私たちがいるこの世界は、ドラマでも漫画でもない現実。さ、開門だよ。」
ガ-ドマンが正面扉を開き、来客がブースが向かって来る。
「おはようございます、いらっしゃいませ。」
凪咲はそう言って、笑顔で迎える。こうして今日も1日が始まった。
業務が始まってしまえば、御曹司のことなど気にしてる暇はない。慌ただしく、時間が流れて行く。気が付けば、午前中が過ぎて行き、交代で昼休憩に入る時間となった。
「桜内さん。」
千晶が席を立ち、貴恵と2人になったところで、凪咲は声を掛けた。
社長の命を受け、ずっと海外に滞在しているということは、伝わっては来ていたが、そこで彼が何をしているのかはわからない。そんな謎めいた存在だった創業家4代目となる御曹司新城裕が、ついに本日帰国し、その足で社に現れるということが発表されたからだ。
「何時くらいにいらっしゃるんでしょうね?」
「成田に着くのがお昼過ぎらしいから、現れるのは夕方じゃない?」
「当然、ここを通られますよね。」
「御曹司がこそこそ、裏口から入る必要なんかないでしょうからね。」
「うわぁ・・・なんかドキドキしちゃいますね。」
「あんたが浮かれて、どうするのよ。」
「だって、謎のベールに包まれていたイケメン御曹司が、いよいよ私たちの前に現れるんですよ。」
興奮を隠せない千晶に
「誰が来ようと私たちの仕事は変わらない。いつも通り、お迎えするだけ。だいたい、イケメンかどうか、わかったもんじゃないでしょ?」
冷や水を浴びせるように、貴恵は言う。
「ウチみたいな大企業の御曹司は、ドラマや漫画の世界じゃ、イケメンに決まってます。」
「今、私たちがいるこの世界は、ドラマでも漫画でもない現実。さ、開門だよ。」
ガ-ドマンが正面扉を開き、来客がブースが向かって来る。
「おはようございます、いらっしゃいませ。」
凪咲はそう言って、笑顔で迎える。こうして今日も1日が始まった。
業務が始まってしまえば、御曹司のことなど気にしてる暇はない。慌ただしく、時間が流れて行く。気が付けば、午前中が過ぎて行き、交代で昼休憩に入る時間となった。
「桜内さん。」
千晶が席を立ち、貴恵と2人になったところで、凪咲は声を掛けた。