ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「なに?」
「ジュニアさんって、私たちと同い年なんですか?」
「そうらしいね。どうしたの?菱見さんもジュニアに興味があるの?」
「そうじゃないですけど・・・でもそうなると、桜内さんとは入社同期ってことになりませんか?」
凪咲が尋ねると
「さぁ?同期に御曹司がいれば、噂くらいにはなりそうだけど、少なくとも入社してから、しばらくはジュニアの話なんか聞いたことなかったし。」
貴恵は首を傾げて答える。
「そうなんですか?」
「ここ3年くらいだよ、彼の名前がちらちら社内で聞こえて来るようになったのは。」
「じゃ、ちょうど私がこちらでお世話になる前後くらいからですか?」
「そうなるね。だから、少なくとも私たちと一緒には入社してないんじゃないの?」
「そうですか・・・だとすると、いつ入社されたんですけね?それに大学卒業・・・をされてるんでしょうけど、それからどうされてたんですかね?」
「さぁ?なんか社長の命で、海外で経営の勉強をしてたとかって噂されてるけど、どうだかね?大方今まで社長に甘やかされて、遊び惚けてたけど、さすがにいい歳になって、そうもいかなくなって、帰って来るんじゃないの?」
自分の仕事を奪おうとしているらしい御曹司に対して、嫌悪感を露にするような貴恵の侮蔑交じりの口調に、凪咲が思わず息を呑んだ、その時だった。
「入社はあなたより、3年後輩になります。桜内ブースチ-フ。」
という声が背後から聞こえて来て、2人がびっくりして振り返ると、そこにはどう見ても、リゾ-ト帰りとしか見えないような服装に、サングラスを掛けた、背の高い男性が立っていた。
その社内ではありえない恰好と、また自分たちが気が付かないうちに、いつの間にかそこにいた男の存在に、凪咲も貴恵も凝然としていると
「大学卒業後は、まずは『大塚ケミカルズ』さんに3年間お世話になり、その後、弊社に入社いたしましたが、そのまま海外に飛び、この度、社長の命で帰国した次第です。」
軽い口調で語り続ける男を、呆気にとられて見つめる貴恵の横で
(大塚ケミカルズ・・・。)
凪咲はその社名を心の中で繰り返す。それは、かつて自分が3年半務めた企業の名前だったからだ。
「ジュニアさんって、私たちと同い年なんですか?」
「そうらしいね。どうしたの?菱見さんもジュニアに興味があるの?」
「そうじゃないですけど・・・でもそうなると、桜内さんとは入社同期ってことになりませんか?」
凪咲が尋ねると
「さぁ?同期に御曹司がいれば、噂くらいにはなりそうだけど、少なくとも入社してから、しばらくはジュニアの話なんか聞いたことなかったし。」
貴恵は首を傾げて答える。
「そうなんですか?」
「ここ3年くらいだよ、彼の名前がちらちら社内で聞こえて来るようになったのは。」
「じゃ、ちょうど私がこちらでお世話になる前後くらいからですか?」
「そうなるね。だから、少なくとも私たちと一緒には入社してないんじゃないの?」
「そうですか・・・だとすると、いつ入社されたんですけね?それに大学卒業・・・をされてるんでしょうけど、それからどうされてたんですかね?」
「さぁ?なんか社長の命で、海外で経営の勉強をしてたとかって噂されてるけど、どうだかね?大方今まで社長に甘やかされて、遊び惚けてたけど、さすがにいい歳になって、そうもいかなくなって、帰って来るんじゃないの?」
自分の仕事を奪おうとしているらしい御曹司に対して、嫌悪感を露にするような貴恵の侮蔑交じりの口調に、凪咲が思わず息を呑んだ、その時だった。
「入社はあなたより、3年後輩になります。桜内ブースチ-フ。」
という声が背後から聞こえて来て、2人がびっくりして振り返ると、そこにはどう見ても、リゾ-ト帰りとしか見えないような服装に、サングラスを掛けた、背の高い男性が立っていた。
その社内ではありえない恰好と、また自分たちが気が付かないうちに、いつの間にかそこにいた男の存在に、凪咲も貴恵も凝然としていると
「大学卒業後は、まずは『大塚ケミカルズ』さんに3年間お世話になり、その後、弊社に入社いたしましたが、そのまま海外に飛び、この度、社長の命で帰国した次第です。」
軽い口調で語り続ける男を、呆気にとられて見つめる貴恵の横で
(大塚ケミカルズ・・・。)
凪咲はその社名を心の中で繰り返す。それは、かつて自分が3年半務めた企業の名前だったからだ。