ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「本当?いや・・・自分から出しゃばっておいてなんだけど、本当に僕なんかでいいの?」


凪咲の返事に、そんなことを言い出した大城に


「大城くんがいいです。なんて言っても、結婚前提に付き合ってるなんて、自分でハ-ドル上げちゃったから、いい加減な人は連れて行けないと思ってたんだけど、その点大城くんなら、私も安心して親に紹介出来る。大城くん、ありがとう。」


そう言って笑顔を浮かべた凪咲に


「そんな風に言ってもらえるなんて、参ったな・・・。」


照れ臭そうな笑みを浮かべて、大城は少し俯いた。


「そうと決まれば、今度の週末、よろしくお願いします。」


「えっ、今週末?」


「うん。善は急げって言うか、親からもせっつかれてるんで。」


「そっか・・・わかった。じゃ、今週末、君の実家にお邪魔させてもらいます。」


そう言って、笑顔を浮かべた大城に


「よろしくお願いします。」


凪咲も笑顔を返した。


それから、時はあっという間に過ぎ、迎えた週末。肩を並べて、凪咲の実家の最寄り駅に降り立った2人を、勉が迎えに来ていた。


「やぁ、いらっしゃい。」


笑顔でそう言った勉に


「お兄さんですか?本日は突然、お邪魔しまして申し訳ございません。また、お出迎え恐縮でございます。私、菱見さんとお付き合いさせていただいている、大城裕と申します。以後、お見知りおきを。」


ガチガチに緊張して、大城はペコリと頭を下げる。


「ご挨拶、痛み入ります。凪咲の兄の勉です。ところで大城くん、妹のことは、やっぱり凪咲と呼んだ方が、リアリティがあると思うぞ。」


「えっ?」


「あ、ごめん。言ってなかったけど、兄は知ってるんだ、私たちのこと。」


「そ、そうなんだ・・・。」


凪咲の言葉に、大城は思わず身体の力が抜ける。


「ハハ、そんなに緊張しなくても大丈夫だから。でも凪咲、短期間でよく、彼みたいな立派な恋人役、見つけたな。」


「でしょ?私だって、やる時はやるんだから。」


「なるほど、でもそのやる気の出す方向が、ちょっと違うような気がするが。」


「おにい!」


「ま、とにかく、大城くんなら、ウチの親も納得するだろう。」


「だといいんですが・・・。」


「大丈夫。じゃ、乗ってよ。」


「はい、では失礼します。」


そう言って、大城は凪咲と共に後部座席に乗り込んだ。
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