ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
このあと、両親の大城に対する大歓待が始まった。出前の寿司が届き、正美の手による心づくしの料理が食卓に並び


「裕くん、改めてよろしく頼むよ。ここは田舎だが、いい酒がある。それにこの肉は妻が丹精込めて焼いた、ウチの店の自慢の地元牛だ。絶対に君にも気に入ってもらえるはずだ。さ、どんどんやってくれ。」


「はい。ちょうだいします。」


早くも上機嫌になった直也に勧められて、大城は酒を口に運び、肉に箸をつける。確かに肉は口の中で溶けるようで


「いやぁ・・・これは美味しいです。」


思わず大城が言うと


「そうだろう。君は牛肉は好きか?」


「はい。」


「とにかくウチの婿になるからには、美味い(ぎゅう)には不自由させないからな。楽しみにしててくれ。」


そう言って、呵々大笑する直也の横で


「裕さん、田舎料理でお口に合うかどうかわかりませんけど、遠慮なく召し上がって下さい。」


正美がこれまたにこやかな表情で、料理を勧めて来るから


「はい、ありがとうございます。」


大城は恐縮しながら、箸をつける。すると


「美味しいです。」


自然と顔がほころんでくる。


「そうだろう、ウチの嫁さんの料理は天下一品。そんじょそこらの料理屋なんて、お呼びじゃないからな。」


「お父さん、そんな大風呂敷広げて、裕さんが反応に困ってらっしゃるじゃないですか。」


「いや、本当に美味しいです。」


いよいよ上機嫌の直也に、大城は笑顔で頷いている。その様子を凪咲が唖然としながら見ていると


「凪咲。」


直也が声を掛けて来る。


「は、はい。」


慌てたように返事をした凪咲に


「さっきは言わなかったが、実は俺たちが強引に鳳凰さんとの見合いの話を進めようとしたのには、もう1つ理由がある。ここらのような地方都市では、若い女性が、都会に出て行ってしまったりして、少なくなって、結果として子供が生まれなくなって、人口減に陥って消滅の危機を迎えている所が少なくない。だからお前には、是非早くこっちに帰って来て、結婚して欲しかったんだ。」


父はそんなことを言い出す。
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