ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
リビングに出た凪咲は、一応大城の部屋をノックし、声を掛けてみるが、当然返事はない。


キッチンに目を転じれば、使い終わった食器や調理器具が洗い終わって、置いてある。


(朝食を作って食べて、1週間分の洗濯を終えて、10時前には外出してるって、彼は今朝何時に起きたんだろう・・・?)


1週間の仕事の疲れを取るために、土曜日の午前中くらい、ゆっくり寝ていたいと思うのが、普通じゃないかと、凪咲は思うが


(用事や約束があったのかもしれないしね・・・。)


そう思い直して、冷蔵庫を覗いてみると、わかってはいたが、ほとんど何もない。


(ヨーグルトがあるから、とりあえずは朝はコーンフレークで凌ぐか。)


平日にほとんど自炊をしていないから、休日くらいはちゃんと作らないと・・・とは思っているのだが、やはり面倒くさい。


まずはお腹が満たされれば、それでいいと言う安直な発想のもとに朝食を済ませ、あとは洗濯だけは済ませると、リビングのソファーにどっかりと腰を下ろす。


今週末は特に予定がない凪咲。友人と暮らしていた頃は、そんな時でもおしゃべりに花を咲かせたり、料理を一緒にしたり、もちろん一緒に出掛けることもあった。


が、今は一人。手持ち無沙汰のまま、しばらくボンヤリとTVを見ていたが、それにも飽きたところで、今度はスマホで携帯ゲーム。やりだすと、止められなくなり、ふと気が付くと、もう日はとっくに暮れていて


(あっ、お昼ごはん、食べるの忘れてた・・・。)


自分でも呆れながら、改めて冷蔵庫を覗いてみるが、やっぱり目ぼしいものは見当たらない。


(買い物に行くしかないか・・・でもメンドイ。ウーバ-でもいっか・・・。)


という結論に達し、特に食べたい物もないので、ハンバ-ガ-セットを注文する。1時間ほどで届いたセットを黙々と食べると、またスマホをいじりだす。


結局、こうしてグータラしながら、1日が過ぎて行き


(私、せっかくのお休みに何してるんだろう・・・。)


さすがに自己嫌悪に陥った。


(大城くんに見られたら、呆れられちゃうよね・・・。)


ふと、そんな思いがもたげて来て


(あの、いつも、こんなんばっかりじゃないからね。今日は先週からいろいろあって、ちょっと疲れちゃったから・・・。)


なぜか心の中で、大城に言い訳をしていた。
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