ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「これからまだ3ヶ月は、君に同居に付き合ってもらわなきゃならないのに、こんなんじゃ、大城くんがもたないよ。それじゃあまりに申し訳ない。」


「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だよ。正直、全くそういうつもりがなかったわけじゃないけど、でも別に無理して出掛けてるわけじゃないから。」


「本当に?とにかく、大城くんにはなんのメリットもない同居をお願いしてるのは、私の方なんだよ。確かに恋人同士でもない男と女が、一つ屋根の下に住んでるんだから、一定の距離は置かなきゃいけない。お互いの生活に干渉しないっていうのは、必要なルールだと思う。でも全くの没交渉で過ごす必要はないんじゃないかな?」


「菱見さん・・・。」


「だから、たまには一緒にご飯食べたり、そのあと、お茶飲みながら、仕事の愚痴をこぼし合ったり、週末に一緒に出掛けたり・・・そんな時間を過ごすのも、ありじゃないかな?」


そんなことを言い出した凪咲に、大城は驚きの表情を浮かべた。

                                                                                                     「この間、朝食用意してくれたのだって、本当はありがたかったんだよ。」


「えっ、本当に?僕は余計なことして、君に引かれちゃったかと思ってた。」


「そう思わせちゃったんなら、ごめんね。私さ、はっきり言ってずぼらなんだよ。だから、友だちと一緒に住んでた時はそれなりに当番決めて、自炊もしてたんだけど、でもひとりになってからは全然で。だから、正直面倒臭いから、私はやりたくないなって思っちゃって・・・だから大城くんに申し訳なかっただけなの。」


「そっか・・・。」


「だからさ。とにかく、大城くんには私にあまり気を遣い過ぎないで欲しい。」


そんなことを言って来た凪咲を、思わず見つめてしまった大城は


「菱見さんは、それで本当にいいの?」


と尋ねていた。


「うん。大城くんとは同期だけど、職場が離れてることもあって、今までそんなに話したこともなかったけど、せっかくの機会なんだから、もう少し仲良くなろうよ。」


やや照れ臭そうに、そんなことを言った凪咲に


「菱見さんがそう言ってくれるなら、僕の方は喜んで。」


大城は嬉しそうな笑顔を浮かべた。


「じゃ、改めまして・・・よろしくお願いします。」


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


そしてふたりは笑顔を交わした。
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