ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
⑩
そのまましばらくその光景を楽しみ、語りながら歩いていた2人だったが、やがて帰宅の途に着くべく、商店街に引き返して行った。
いつの間にか、日が西に隠れ始め、商店街は賑わいを増していた。家族連れや夫婦が買い物に現れ、その客を呼び込む威勢のいい声が、あちこちに響いていた。思えば、こう言った光景もあまり、目にすることはなくなって来ているかもしれない。
そんな中を、ふたり肩を並べて歩いていた凪咲と大城だったが
「ちょっと、このお肉屋さん寄ってもいい?」
凪咲が足を止め、ショ-ケ-スに目をやると
「いらっしゃい。」
その後ろから、声が掛かる。そして
「おっ、新婚さんかい?」
と笑顔で言われ
「えっ・・・。」
2人が答えに困っていると
「仲睦まじくていいね。どう?今日はとんかつでも。」
畳み掛けられる。
「確かに美味しそうなお肉・・・。」
「さすが奥さん、お目が高い。安くしとくからさ、どう?」
「でも・・・。」
「いただきます。」
「えっ?」
「この子、肉屋の娘なんで、彼女が美味しそうって言うなら間違いない。じゃ、豚ロース2枚、お願いします。」
戸惑う凪咲を尻目に、大城が注文する。
「そうこなくっちゃ。じゃ、いいとこ、分厚く切っとくから。」
「よろしくお願いします。」
こうして、今夜のおかずが決まったふたり。
「大城くん、いいの?」
「昼間、恋人同士に間違えられたのも驚いたけど、今度は新婚さんだって。僕たちもそう見える年齢なんだね。」
「大城くん・・・。」
「さ、帰ろう。あっ、とんかつは僕が揚げるから、任せといてよ。」
張り切って、歩き始めた大城を、一瞬、凪咲は不思議そうに見たが、すぐに後を追った。
こうして帰宅したふたり。さっそく準備に掛かろうとする大城に
「私も手伝うよ。」
凪咲は言うが
「大丈夫、菱見さんは休んでてよ。」
笑顔の大城は、エプロンを着け、やる気満々。これはお任せした方がいいと察した凪咲は
「じゃ、よろしくお願いします。私は洗濯物を取り込んでから、お風呂の準備しちゃうね。」
そう言い残して、キッチンを離れた。
いつの間にか、日が西に隠れ始め、商店街は賑わいを増していた。家族連れや夫婦が買い物に現れ、その客を呼び込む威勢のいい声が、あちこちに響いていた。思えば、こう言った光景もあまり、目にすることはなくなって来ているかもしれない。
そんな中を、ふたり肩を並べて歩いていた凪咲と大城だったが
「ちょっと、このお肉屋さん寄ってもいい?」
凪咲が足を止め、ショ-ケ-スに目をやると
「いらっしゃい。」
その後ろから、声が掛かる。そして
「おっ、新婚さんかい?」
と笑顔で言われ
「えっ・・・。」
2人が答えに困っていると
「仲睦まじくていいね。どう?今日はとんかつでも。」
畳み掛けられる。
「確かに美味しそうなお肉・・・。」
「さすが奥さん、お目が高い。安くしとくからさ、どう?」
「でも・・・。」
「いただきます。」
「えっ?」
「この子、肉屋の娘なんで、彼女が美味しそうって言うなら間違いない。じゃ、豚ロース2枚、お願いします。」
戸惑う凪咲を尻目に、大城が注文する。
「そうこなくっちゃ。じゃ、いいとこ、分厚く切っとくから。」
「よろしくお願いします。」
こうして、今夜のおかずが決まったふたり。
「大城くん、いいの?」
「昼間、恋人同士に間違えられたのも驚いたけど、今度は新婚さんだって。僕たちもそう見える年齢なんだね。」
「大城くん・・・。」
「さ、帰ろう。あっ、とんかつは僕が揚げるから、任せといてよ。」
張り切って、歩き始めた大城を、一瞬、凪咲は不思議そうに見たが、すぐに後を追った。
こうして帰宅したふたり。さっそく準備に掛かろうとする大城に
「私も手伝うよ。」
凪咲は言うが
「大丈夫、菱見さんは休んでてよ。」
笑顔の大城は、エプロンを着け、やる気満々。これはお任せした方がいいと察した凪咲は
「じゃ、よろしくお願いします。私は洗濯物を取り込んでから、お風呂の準備しちゃうね。」
そう言い残して、キッチンを離れた。