ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
「深い事情なんかありません。仕事でミスを連発して、居ずらくなって、辞めざるを得なくなってしまった、ただそれだけのことです。」
「いつ、辞めたんだ?」
「あなたが辞めてから、半年後くらいかな。その後の就職活動も苦戦して、結局派遣でAOYAMAさんに拾ってもらって、現在に至るってとこです。もういいでしょ?」
と言って、また自分に背を向けようとする凪咲に
「俺のせいなのか?」
尋ねる裕。
「はぁ?」
「凪咲が会社に居辛くなるくらいに、ミスを連発するなんて、あり得ないだろ?ひょっとしたら、俺が急にいなくなったから、それで・・・。」
そう言って裕は凪咲の目を見た。一瞬、動揺したように目を泳がせた凪咲だったが、すぐに
、
「どうして、あなたのせいなのよ。そんなわけないでしょ、なんでそういう発想になるのよ。自惚れないで!」
今日初めて敬語ではなく、強い口調で言う。一瞬沈黙が流れ、お互いを見合った2人だったが
「もう1つ。さっき、あなたは『受付嬢なんか』って、言ったよね。その言葉、取り消してよ。」
凪咲は更に詰め寄る。
「凪咲・・・。」
「私、受付嬢って仕事が好きなの。誇りを持ってる。少なくても、あなたや栗木常務さんに軽く見られるような仕事じゃ絶対にないから。」
そう言って、真っすぐに裕を見た。その視線を受けて
「わかった、ごめん。」
素直に裕は頭を下げた。
「ありがとう。じゃ、もう今度こそいいでしょ?」
「・・・。」
「そう言えば、どうして私の住所知ってるの?」
「えっ?」
「人事部か秘書課長あたりから、御曹司の権力で聞き出したんだろうけど、だとしたら完全に個人情報漏洩だよね。訴えてもいい?」
凪咲の厳しい声に思わずたじろいだ裕は
「すまん。これは俺が本当に悪かった、許してくれ。」
三度、頭を下げることになってしまった裕を、凪咲は少し眺めていたが
「訴えるはウソだけど、でももうこんなこと止めてよね。」
そう言って、チラリと笑みをこぼした。
「凪咲・・・。」
その笑顔をハッとしたように見つめた裕に
「裕。」
再会してから、凪咲は初めてそう呼び掛けると
「あなたには感謝してる、その気持ちにウソはないよ。こうやって、再会したのも何かの縁なのかもしれない。でも私たちは所詮、住む世界が違うんだよ。そういうことで、おやすみなさい。また明日、会社でお目に掛かりましょう。」
そう言って、今度は自分が頭を下げると、凪咲はゆっくりと裕に背を向けて歩き出した。
「いつ、辞めたんだ?」
「あなたが辞めてから、半年後くらいかな。その後の就職活動も苦戦して、結局派遣でAOYAMAさんに拾ってもらって、現在に至るってとこです。もういいでしょ?」
と言って、また自分に背を向けようとする凪咲に
「俺のせいなのか?」
尋ねる裕。
「はぁ?」
「凪咲が会社に居辛くなるくらいに、ミスを連発するなんて、あり得ないだろ?ひょっとしたら、俺が急にいなくなったから、それで・・・。」
そう言って裕は凪咲の目を見た。一瞬、動揺したように目を泳がせた凪咲だったが、すぐに
、
「どうして、あなたのせいなのよ。そんなわけないでしょ、なんでそういう発想になるのよ。自惚れないで!」
今日初めて敬語ではなく、強い口調で言う。一瞬沈黙が流れ、お互いを見合った2人だったが
「もう1つ。さっき、あなたは『受付嬢なんか』って、言ったよね。その言葉、取り消してよ。」
凪咲は更に詰め寄る。
「凪咲・・・。」
「私、受付嬢って仕事が好きなの。誇りを持ってる。少なくても、あなたや栗木常務さんに軽く見られるような仕事じゃ絶対にないから。」
そう言って、真っすぐに裕を見た。その視線を受けて
「わかった、ごめん。」
素直に裕は頭を下げた。
「ありがとう。じゃ、もう今度こそいいでしょ?」
「・・・。」
「そう言えば、どうして私の住所知ってるの?」
「えっ?」
「人事部か秘書課長あたりから、御曹司の権力で聞き出したんだろうけど、だとしたら完全に個人情報漏洩だよね。訴えてもいい?」
凪咲の厳しい声に思わずたじろいだ裕は
「すまん。これは俺が本当に悪かった、許してくれ。」
三度、頭を下げることになってしまった裕を、凪咲は少し眺めていたが
「訴えるはウソだけど、でももうこんなこと止めてよね。」
そう言って、チラリと笑みをこぼした。
「凪咲・・・。」
その笑顔をハッとしたように見つめた裕に
「裕。」
再会してから、凪咲は初めてそう呼び掛けると
「あなたには感謝してる、その気持ちにウソはないよ。こうやって、再会したのも何かの縁なのかもしれない。でも私たちは所詮、住む世界が違うんだよ。そういうことで、おやすみなさい。また明日、会社でお目に掛かりましょう。」
そう言って、今度は自分が頭を下げると、凪咲はゆっくりと裕に背を向けて歩き出した。