ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
30分ほど、車を走らせた充希が、車を滑り込ませたのは、彼女たちが高校時代によく行った学校近くのファミレスの駐車場だった。


「あっ、ここ懐かしいね。」


思わず声を上げた凪咲に


「学校の帰り、よくここで駄弁ったよね。飽きもせず。」


充希が応じる。


「どうしたの?こんな所に急に連れて来て。」


「うん、ここでツッくんが待ってる。」


「おにいが?なんでここで?別に実家で待ってればいいじゃん。」


「取り敢えず、一緒に来て。」


そう言って、店に向かって歩き出す充希の後ろを、首を捻りながら、凪咲は追う。


「いらっしゃいませ。」


店に入ると、既にテーブルに着いている勉が手を振って、合図して来る。その方に向かって、歩き出した凪咲は、すぐに勉の前にもう1人の人物が座っていることに気付く。


(誰・・・?)


訝し気にその人物を見た凪咲は、次の瞬間、思わず息を呑んで、足を止める。


「なんで・・・。」


「何してるの?行くよ。」


戸惑いを露にする凪咲を、充希が促す。訳が分からぬまま、テーブルに近づくと


「ご無沙汰、してます。」


兄の前に座っていた男性が立ち上がると、丁寧にお辞儀をした。


「廣田くん・・・。」


彼の名前が、凪咲の口から洩れる。かつての同級生、そして凪咲にとっては、幻のお見合い相手だった廣田耕司の姿が、そこにあった。慌てて、頭を下げ返した凪咲に


「座ってくれ。」


勉が立ち上がって、声を掛ける。


「おにい、これ、どういうこと?」


「話は座ってからだ。」


状況が全く、理解も納得も出来なかったが、ここで押し問答をしていても仕方がない。凪咲はそれまで兄が座っていた廣田の前の席に着き、勉はその隣に、充希は彼の前、廣田の横に腰掛けた。


「お父さんの具合が悪いって話はウソだったの?」


凪咲が、思わず問い質すように横の兄に言うと


「ウソじゃない。この後、実家に連れて行くよ。ただ、正直言うと、今回お前を呼び戻したメインの理由は、こっちだ。」


勉は言い切った。


「どういうことなの?」


「僕がお願いしたんだ。」


ここで廣田が口を開いた。


「廣田くん・・・。」
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