きみの色



70代後半くらいだろうか?


小さなレンズの眼鏡をかけていて、杖をついている。


広々とした玄関を通り、家の中へと案内された。

家の中には色々な骨董品のようなものが置かれていて、私は思わずわぁ、と声をあげてしまった。


それを聞いた二階堂先生と呼ばれる方に、にこりと微笑まれる。


そして、廊下を歩いている時に
微かに絵の具の匂いがした。


気のせいかな?




そのまま和室に通され、私もおばあちゃん
そして二階堂先生が向かい合って座ると、おばあちゃんの方から「では」と口を開いた。



「私の知り合いの、お世話になってる先生、二階堂 光圀(にかいどう みつくに)さんよ。
絵を描いてらっしゃるの」



「こんにちは」と、向かいに座った二階堂先生が、頭を下げる。




「こんにちは。…鷹宮葉月です」



「垣原さんから聞いていますよ。どうぞよろしく」



目尻に皺を寄せて笑う姿は、とても穏やかでいい人そうだった。


柳のおばあちゃんと初めて会ったときの感覚に似ている。




< 105 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop