パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-
「とりあえず、アトリエも見ていただいてから」
と、私を別の部屋へ案内してくれた。
小さくて、こぢんまりとした部屋だった。
二階堂先生が扉を開けると、中からふわりと懐かしい匂いが鼻を掠める。
思わずわっと感嘆してしまうほど、素敵な空間だった。
ごちゃごちゃと物がたくさん置いてある印象が、一つ一つの作品やモデルとして置いてある物に愛着が感じられる。
おじいちゃんのアトリエにそっくりだった。
私のおじいちゃんも、父と同じく画家だった。
といっても、地域で個展を開く程度で
父のように有名とは言えない。
けれど、私が絵を描き始めたのはおじいちゃんの影響だった。
やさしくて、いつも手の指先に絵の具をつけていて、それでいておおらかな人。
小さい頃の私はおじいちゃんのアトリエにずっと入り浸って鉛筆やクレヨン、様々なもので絵を描いていた。
そしてどんな絵を描いても、うまいうまいと褒めてくれる。
大好きなおじいちゃん。
小学生の頃に持病が悪化して亡くなってしまったけれど、おじいちゃんとの思い出は今でもキラキラしている。
懐かしくて、懐かしくて、涙が出そうになる。