きみの色



「二階堂先生、私でよければ是非よろしくお願いいたします」



気がついたら、そう口にしていた。



「わあよかった、うれしいね。
詳しいことはお菓子でも食べながら決めよう。ありがとうね」



ありがとうと、言わなければならないのは私の方なのに。



心があたたかくなる。



二階堂先生が、今まだ描いてきた絵を見せてもらったり、どんな絵の具を使っているのか、いままで描いた中で1番大きな絵はどれくらい大きいのか、色んなことを聞かせてくれた。


奥様が出してくれたショートケーキも食べるのを忘れてしまうくらい話に聞き入った。



わくわくと、心が躍る。



そして、私が二階堂先生の家を出る頃には日が傾いてしまっていた。



何度も何度もありがとうございます、と二階堂先生、そして柳のおばあちゃんに頭を下げる。



「じゃあ、また来週から。どうぞよろしくね」と、門の前で手を振られる中、解散した。


柳のおばあちゃんをしっかり見送ってから私も帰路に立つ。



嬉しい…!



私は、暑い熱帯夜なんて気にならないくらい軽い足取りで家に帰った。


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