きみの色

柳はパラソルの下に置いてあったビーチタオルの上に腰を下ろした。


水着は着ているようだけれど、上にはTシャツ、そしてキャップをかぶっている。



「え、柳海入んないの?」



薄い色付きのサングラスの奥の瞳が少々気だるげな色になる。



「海、好きだけど、人一倍日焼けで痛くなるから海水浴は苦手」



柳はそう言って太陽を見上げると顔を少しだけ顰めた。



「もう少し日が落ちてから行く」と、断られてしまう。



「柳も苦手なものあるんだ」



ふーん。と呟くと、ちろりと睨まれる。



「…はぁ、ここでアンタを見てるから」



「落ちてるガラスとかに気をつけるように」と、子供に注意するみたいな警告を受け、私は熱い砂浜を蹴って海にいる2人の元へ駆け出した。



海の水は思ったよりも冷たくて気持ちがいい。

足の裏で感じる濡れた砂浜。

押し寄せる波が私の体にぶつかってくる。

跳ねた雫が口の中に入ると、ちゃんとしょっぱい。


蘭子さんと由井くんと、子供の頃に戻ったみたいにはしゃぎ倒し、思いっきり遊んだ。

< 118 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop