きみの色

みんなであさひくんが焼いてくれた肉を食べ、そしてまた海へ行き、を繰り返す。


気がつけば日が少し傾き始めていた。



「はぁーっ、楽しい!」



思わず感嘆の声が出る。



「ねっ、ビーチバレーしよ?」と蘭子さんが身を乗り出して言った。


「じゃあその前に飲み物買って来ますね!」と、あさひくんとそれについて行った由井くん。


蘭子さんも「トイレ行ってくるから荷物お願いねー」と、浜辺に柳とふたりきり。



「海って、頭皮痛くなるんだね。柳が日光避ける意味がちょっとわかった」



すでに肌がチリチリ日焼けで痛む。

しっかり日焼け止めは塗ったつもりなのに。



「まぁ、水着だしな」と、柳が息をつきながら言った。


そしてじーっとこちらを見てくる。



「なに見てるの?」


「アンタの水着」


いつだって表情を崩さない柳はこれが通常運転。


「似合ってる?」


「あぁ。かなり」


「可愛い」と、恥ずかしげもなくその言葉を述べる。


「ふふ、蘭子さんに選んでもらった甲斐があったね」


そう言って笑うと、柳はじっと私を見つめたまましばらくの間固まった。



「なに?」


「………いや」
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