パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-

「俺、案外逃げるのもうまいから」と、彼は続けた。



「…なんでそんな不安そうな顔で見る」



「行くぞ」と、柳は私の手を繋いだまま歩き出す。


ゆっくりとした歩幅。


少しだけ涼しくなった秋風が、私たちの頬を撫でていく。


私は彼の手を優しく握り返した。



夏が終わり、秋がやってくる。


まだ、何者でもない私たちは、お互いを信じながら、お互いを思いながら、18歳の秋を進んでいく。

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