パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-
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秋の図書館。
私は借りていた本を返すために、再び図書館を訪れていた。
返却コーナーに、手に持っていた本をどさりと置けば、重みで痺れていた両手が解放される。
そして、帰り際に『秋のおすすめ!小学生向け書籍コーナー』で私の足は止まった。
画用紙で切り取られた落ち葉が、ポップの隅にいくつも貼られていて可愛らしい。
これ…
私は指先で、ある児童書を手に取った。
荊棘の城の、魔王が出てくるあの本だ。
うわ、懐かしい。
パラパラとページをめくって、懐かしさのある挿絵に思いを馳せる。
魔王の悲劇のシーンの挿絵が出てくる。
剣がその傷だらけの体を貫き、王子が兵に向かって「やってやったぞ!」と手をかざすシーン。
なぜだろう、やっぱり柳に似ているような。
けれど、この魔王は悪役だもの。
この姿だけはどことなく柳に似ていると感じてはいるが、悪役という名は柳には相応しくない。
彼は本当に愛情深くて、美しくて、完璧だから。
「葉月ちゃん?」
背後から、聞いたことのある声が聞こえた。
「…!鈴木さん」
振り向いた私の返事に、鈴木さんは思い出したように笑った。
「びっくりした。髪が短くなってたから人違いかと思ったよ」
「…あ、ちょっと気分転換で…」
私はなんとなく誤魔化しながら髪の毛を抑えた。