パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-
私の話を聞いていた鈴木さんは、ふっと息を漏らし笑った。
「あ…、なんかすみません…1人でベラベラと」
「いや…、いいんだ」
くっくっく、と続けて喉の奥で笑っている。
「…それより、今から帰り?」
「…はい。夜にアルバイトが入っているんですけど、一旦家に帰ろうかな…って」
「そっか。…家まで送るよ。この前看病してくれたお礼もしたいし」
鈴木さんが本をコーナーに戻しながら言った。
「…大丈夫です。お気持ちだけで」
少しだけ考えてから、彼の申し出を断る。
この間、彼に家で言われた言葉を思い出す。
私の自意識過剰かもしれないけれど、柳との関係に不安なことはなるべく持ち込みたくない。
やっぱり、なるべく2人きりは避けるべきだよね…。
だって、柳が知らない女の人と二人きりで過ごすの…いくら何もないとわかってても嫌だし…
「今日は、一人で帰ります」
ぺこりと頭を下げて入り口の方へと向かう。
外へ出ると、鈴木さんが私の手首をゆるく掴んで引き留めた。
初めて会ったときと変わらず、今日も指先は冷たい。
「…待って。…今度、また誘っても良いかな?ここで」
眉根を寄せて切なそうにするその顔を見て、私の胸は申し訳なさでいっぱいになる。