きみの色

体が重い。


頭もいたいし。

さっきの悪夢のせいか、体が妙に冷たい。


いつもの倍ほど時間をかけて帰っていると、ちょうど小さな交差点で歩いていた人と肩がぶつかってしまった。



「…、すみません!」



咄嗟に謝ってから気づく、相手は数人いて
それにこの前見かけた変な奴らと同じ制服のようなものを着ている。



「ねえちゃんちゃんと前見てあるかないと〜、ね?」



なんだかこの前家の近くにいた人たちに似ている気もする。


眉毛のないスキンヘッドの男と、後ろに茶髪の顔面ピアスだらけの男。

あともう1人、お酒のようなものを飲んでいる男がいる。


3人とも私を見るならにやにやと嫌な笑みを浮かべて近づいてきた。



グッと肩を抱くようにして茶髪の男が体を寄せてくる。



やばい。



家までもうあと少しだったと言うのに。


このまま走って逃げる?

いや、相手は3人だ。

私の運動神経では直ぐ捕まえられるのがオチだ。



「あの、離してください」



なるべく語気を柔らかくして言いながら、荷物を持っていない手で肩に乗っている男の手をどけようとしてみる。



「顔可愛いのに、無愛想だね〜。ちょっと付き合ってよー、イイトコ連れて行ってあげるからさ」



カバンの持ち手を捕まれ、どかした手がさらに強い力で掴まれる。


力の強さに私は思わず顔を顰めた。


カバンの中には、塾用の画材と
持って帰ってきた自画像が入っている。

私は咄嗟にそれを守ろうと、声を上げた。



「ーちょ、やめて下さい!」
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