パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-

そうすれば、どんどん上手くなるって
父が言ってたから。


年を明けてすぐにあった、大学入試ではあっけなく第一志望に落ちてしまったわけだけど。


今となってはそのルールも、何のためにあるかわからない。



「おす」



後ろから声をかけられて、思わず肩が震える。



「今日も早いなー。相変わらず、よくやるよ」



今年、はじめての受験を控えている野田が、呆れ声でつぶやいた。


短く整えられた黒髪に、太めの黒縁眼鏡。


本人の視力が相当悪いのか、横を向いた時にレンズに歪みが生じている。



「おはよ。野田、今日学校は?」



平日の昼過ぎだというのに、真っ当な高校生がこんな薄暗い場所で何してるんだ。



「テスト期間」



あぁ、なるほど。
と野田の回答にゆっくり頷いた。



テスト期間なのに、なんとまあ真面目で優等生。


野田も私と同じように自身の木椅子を手で引き寄せて、近くに腰を下ろした。


そしてそのまま、何をするわけでもなく気怠げにスマホをいじり出す。



野田の指のタップ音に合わせて鳴るゲームのチープな音が、私の動かす鉛筆の音に混じっていく。



「鷹宮はまた日美(にちび)受けんの?」



ケータイから目を逸らすことなく野田が聞いた。



「うん、まあ」



「ふーん」
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