パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-
群青色の中の緑が、優しい色でこちらを見る。
彼の慰めの言葉が、体温が
私の涙をいつの間にか止めてしまっていた。
苦しかった胸の痛みが、すこしずつ和らいでゆく。
「……私っていつも顰めっ面なの?」
「初めて会った時もそうだった」
え、と見上げると彼がクスクス笑い始める。
綺麗な顔…。
ほんと、見惚れてしまうほど、完璧だ。
「…そんなに見つめられると、顔に穴が空く」
無意識に彼をじっと見てしまう事に、彼はきっと気づいているだろう。
それにこの前眠りかけの時に、綺麗だとかなんとか口走ってしまったような…
「アンタって俺の顔が好きなのか?いつもじっと見てくるけど」
ほら、やっぱり。
お見通しだった。
「………だって、こんな美しい顔、石膏像以外にはじめてみたから…」
「石膏像…?」
「………つまり、私が出会った中で1番綺麗な人ってこと」
「…ふーん、モデルにでもなってやろうか」
「本当に?」と、思わず嬉々とした顔で彼を見ると、彼はふはっと吹き出した。
「はは、アンタ思ったより素直なんだな」
楽しそうに笑いながら、私の横をすり抜けて柳は部屋に上がり込む。
「だって…、正直、ずっと考えてたから…。あなたが近くにいれば、喜んで描きたいって…」
「へぇ」と、柳はにやりと悪戯っぽく笑った。
私とのこの状況を楽しんでいる。
「もしかして自覚ないの?」
「…中学の時コレのせいで男子校に転校させられた」