パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-


群青色の中の緑が、優しい色でこちらを見る。

彼の慰めの言葉が、体温が
私の涙をいつの間にか止めてしまっていた。


苦しかった胸の痛みが、すこしずつ和らいでゆく。



「……私っていつも顰めっ面なの?」


「初めて会った時もそうだった」



え、と見上げると彼がクスクス笑い始める。



綺麗な顔…。


ほんと、見惚れてしまうほど、完璧だ。



「…そんなに見つめられると、顔に穴が空く」



無意識に彼をじっと見てしまう事に、彼はきっと気づいているだろう。


それにこの前眠りかけの時に、綺麗だとかなんとか口走ってしまったような…



「アンタって俺の顔が好きなのか?いつもじっと見てくるけど」



ほら、やっぱり。

お見通しだった。



「………だって、こんな美しい顔、石膏像以外にはじめてみたから…」



「石膏像…?」


「………つまり、私が出会った中で1番綺麗な人ってこと」


「…ふーん、モデルにでもなってやろうか」



「本当に?」と、思わず嬉々とした顔で彼を見ると、彼はふはっと吹き出した。



「はは、アンタ思ったより素直なんだな」



楽しそうに笑いながら、私の横をすり抜けて柳は部屋に上がり込む。



「だって…、正直、ずっと考えてたから…。あなたが近くにいれば、喜んで描きたいって…」



「へぇ」と、柳はにやりと悪戯っぽく笑った。

私とのこの状況を楽しんでいる。



「もしかして自覚ないの?」


「…中学の時コレのせいで男子校に転校させられた」
< 41 / 173 >

この作品をシェア

pagetop