パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-
「そろそろ帰る」
「…そっか」
そうだよね…
もう時間も遅いし。
話の続きはまたいつかでいい。
彼にはまた会える気がするから。
2人で部屋を出て、アパートの門の前まで見送ることにした。
外はもう真っ暗だ。
街灯に照らされた彼の髪が、キラキラと光っている。
綺麗な色…
光に透けたその白色は、ガラスみたいだ。
「…あの、…ありがとう、色々と」
「また何かあったら俺に言え。大抵は学校かあのビルの4階のバーにいる。
俺がいなくても今日一緒にいた奴らに頼めばいい」
茶髪で身長の大きな人と、赤髪のピアスをしていた2人のことだ。
彼の友達なのかな。
「家に帰るの?」
「………いや、ちょっと呼び出し」
呼び出し?
こんな時間に?
それに彼が向かおうとしている先は街だ。
煌びやかな明かりが、遠くの方に見える。
「はづき」
低い声で名前を呼ばれ、「へ、」と情けない声が漏れる。
近づいてきた彼の手が私の頬に触れ、添えられた親指できゅっと頬を擦られた。
「付いてる、鉛筆」
目を細めて笑ったあと、「じゃあな」と柳はキラキラ光る街の方へと消えていった。