きみの色

彼に名前を呼ばれた瞬間、体に電気が走ったみたいな感覚に襲われた。

頭から指先までびりびりと痺れるような。



心臓がドクン、ドクンと、大きな音を立てている。


街灯の光で影が落ちた彼の顔が、頭に焼き付いて離れない。



野田が言っていた言葉が頭をよぎる。



『鷹宮も恋とかするんだな〜』



そうだ。


私は今まだ恋をしたことがない。


恋がどういうものなのか知らない。




彼といる時の胸の詰まったような感覚。



彼に会えると心の中で喜んでしまっていること。


彼のあの瞳にもっとうつっていたいと願ってしまっていること。



自分のこの感情が何なのか、答えを探せずにいた。




だけど、今ならはっきりわかる。


彼といるときにだけ感じるこの気持ちの答えを。




この激しい感情は恋だ。





私は彼に恋をしている。

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