きみの色


「いらっしゃい!」



奥から男の子の声が聞こえてくる。



中は思ったより広く、カウンターが6席、そして奥にはテーブル席が3つほど。


カウンターの奥は、一面大きな棚になっていて
沢山のグラスや様々なラベルのお酒が並んでいた。


全体的に黒と白を基調としたインテリアで、薄暗い照明がいかにもBARといった印象だ。


白と黒のブロックチェックの床を数歩進むと、奥からひょっこりと赤髪の男の子が顔を出した。




「すみません、今ちょっとオーナーが出てて……って」



「あ!」と男の子が大きな声で私を指さす。





見覚えのある顔だ。



唇のピアスとツンツンとした赤髪。

この前柳と一緒にいた人だ。



「ニコちゃんマークの!」



緑色のTシャツを着た彼は、私の元へ早足でやってくると私のことをまじまじと見つめてきた。


目が大きくて可愛らしい印象の顔立ちだ。

背は私より少し大きい。



なんだか小型犬みたいだな、と心の中でつぶやいた。


ポメラニアンとか、チワワとか…そんな感じの…




「……どうも」



「うわー、ごめんなさい!今ちょっと俺以外誰もいないんスよ…!……柳さんに用ですよね?」



柳さんに、と言われて
間違っていないのに「いや、まぁ…その…」と口ごもる。


< 50 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop