きみの色
「ありがとう…でも一旦アパートに戻らないと…荷物とか、着替えとか…」
「ならあとで行こう、俺も用がある」
「…用?」
「orchidに。…アンタも行くか?」
柳の誘いに、昨日のお礼もしっかり言えていないからと、私も一緒に行くことに決めた。
食事を終えて、部屋に戻ると
畳んで置いてあった私の服に着替える。
洗濯までしてもらって…、本当に頭が上がらない。
昨日着ていた服からは、もうクリーナの匂いはしなかった。
柳に借りていた服を返そうと、隣の部屋を覗く。
たしか隣の部屋っていってたよね?
「柳…あの…これ…ーー」
そこには着替え途中の彼がいた。
上半身が顕になっていて、しなやかな筋肉に思わず目がいってしまう。
「ご、ごめん…」
咄嗟に顔を背けて、彼の着替えが終わるのを待つ。
彼は顔色ひとつ変えてない。
「準備できたか?」
「う、うん…着替え、ありがとう…」
白いシャツと黒いズボン。
阿久津沢の制服に着替えた柳が、顔を背けた私の頬に手を伸ばしてくる。
後ろで一つにまとめた髪から垂れた髪を、すくって耳にかけられる。
その動作がくすぐったくて、私は目を閉じた。
彼に触れられるたびに、体が熱くなる。