きみの色
「ほんと、かぼすって柳のこと大好きだね」
「こいつが小さい頃から一緒にいるからな」
「誰かと暮らすのって楽しいんだね。なんだか明日自分の家に帰るのがちょっと寂しいくらい」
「…アンタはずっと一人暮らしなのか?」
柳と2人でカボスのお腹を撫でるのが、もう日課のようになっていた。
「高校生になった時からあそこに住んでる。けど両親と住んでいた頃もこんなに楽しくなかったよ」
柳は何も返してこない。
自ら変な空気にしてしまったんじゃないかと不安になる。
「…俺は中学の頃からばーちゃんと住んでる」
沈黙を先に破ったのは柳だった。
「親とは仲が良くない。…もしかしたらアンタと似てるのかもしれない」
柳には父親の話を少しだけしたことがあった。
「アンタと違って俺には兄貴がいるけどな。
…その分親の圧力も分散してる」
「お兄ちゃんいるんだ」
この美しさの血を引いている兄弟。
ちょっと気になってしまう。
「あぁ。9つ歳が離れてるから28だな」
「待って、柳っていくつなの?」
「…?18だけど」
きょとんとした顔で答えて、「今年19になる」と、付け加えた。
高校に通っているというのだから、てっきり年下かと思っていた。
ずいぶん大人っぽいなと思っていたけど。
「なんだ。同い年なんだ」