きみの色


お店を出る時に、私は深々と頭を下げてお礼を言った。



「また来ます!」



またね、と手を振る彼女をあとに、私はアルバイトへ向かった。


デイジーの前の交差点。

横断歩道を渡る前。



ここで彼を見かけてから全てが変わった。


綺麗に並べられた自転車の列を見つめながら懐かしく思う。



どうしても柳に会いたい。


会って彼に、伝えたいことがある。



信号が青に代わり、人々が一斉に歩き出す。


私はカラオケ デイジーという大きなネオンが目立つ店へと上機嫌で駆け込んだ。


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